HOMEMagazine2012年蕎麦Web博覧会 > 香り高い「志ま平」さんの蕎麦 -蕎麦人-


今回は「出張 蕎麦人」ということで、片山虎之介さんが編集長を務める「蕎麦Web」の企画に参加させていただきました。
なのでいつもより写真は多めに、文章はいつもどおり「簡単」にという、特別バージョンでお送りいたします(笑)。

片山さんからこの企画のお話しを頂いた際に「志ま平さんを・・・」との事でしたので、「それならまずは食べに行かなきゃ。」ってことで「志ま平」さんに出掛けてきましたよ。

「志ま平」さんに出掛けたのはお盆休みが終わった数日後。
まだ休みボケが抜けない体を引きずるように、JR市ヶ谷駅から牛込中央通りへと続く坂道を上って行きました。

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坂を登り切った辺りの交差点に何のお店かわかりにくい、趣のある入り口が印象的なお店があります。

お店の名前は「巽蕎麦 志ま平」。
巽は方角のことで、江戸城から巽の方角、「深川」を指しています。
江戸の文化が好きなご主人が、深川の辰巳芸者のように粋なお店にと思いを込めたもの。

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初めて志ま平さんを訪れた時は、この入り口の雰囲気に圧倒され緊張しましたよ。
でも今や気軽にガラッと戸を開け、「いらっしゃぃ!」とご主人の声を聞きつつ上がり込みます。
慣れとは怖いもんですね(笑)。

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店内も「江戸」を意識したつくりになってます。
町火消しの額や道具、ご主人が集めた蕎麦猪口などが飾られています。

客席はカウンター9席、4人掛けの卓が2つありますが、卓の方は特別な場合にだけ使われる席です。
いつもご主人が気を配れるカウンター9席だけの営業です。

夜の部でお客さんが多い時は、カウンターに席が空いててもお断りする場合があるようですので、事前に予約しておいた方がいいでしょう。

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さぁ、暑い中歩いてきましたから、冷た~いビールで一人乾杯です!

夜の部は「おまかせ」か「コース料理」のみです。
私は誰かと一緒の時は「コース料理」、一人の時はおまかせです。

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まずはいつものように4種盛りが出されます。
季節によって内容が替わりますが、今日は真ん中上から南瓜、納豆豆、肉味噌、海苔の佃煮。
これをつまんでいるとやっぱり日本酒が飲みたくなります。

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お酒は、「景虎」、「真澄」、「獺祭」の3種類に、最近は東北大震災以来「大七」も置いてます。

酒器は錫でできた小ぶりで槌目のチロリ。
猪口も錫製がありましたけど、私はこっちの方が好き。

そしてお酒は「獺祭」。

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4種盛りの頃合いを見てじゅん菜です。
といってもじゅん菜は器の底の方。
上からモロヘイヤ、桃りん、グレープフルーツ、そしてじゅん菜です。

桃リンとは、桃とネクタリンを掛けたものだそうですよ。

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そして志ま平名物!「蕎麦の実スープ」。
1年ぐらい前「TOKIO」の番組で坂東三津五郎さんから紹介されて以来、これを目当てに来るお客さんも増えたそうですよ。
私も志ま平さんに来るとこれを飲まずには帰れません(笑)。

夏場は冷製で提供されますよ。

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ちなみに温かい「蕎麦の実スープ」は碗に入って提供されます。
私はどちらかというと温かい方が好きですね。

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蕎麦寿司です。
夜の部開店直前に巻いているのを、ちょっと早めに来た時によく目にします。

醤油皿が蕎麦の実の形しているのが、いかにもお蕎麦屋さんらしいです。

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余りギュッとは巻かれておらず、口の中で程よくほぐれます。

蕎麦寿司を食べつつお酒を飲んでいると、「もうちょっと何か召し上がりますか?」とご主人。

もちろん頂きますよ。
もう少しご主人と蕎麦談義もしたいですしね。

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10点盛りです。
目にも楽しいこの盛りつけ。
いつもこれを見ると心が浮き立つようですよ。

分かり難いところだけ・・・、左上から2番目の円筒形のものは牛蒡、右上はプチトマトを炊いたもの。
右下2番目は薩摩芋のレモン煮で上には梅の餡が乗ってます。
その左隣は近江の赤蒟蒻、ピリッと辛みがあります。

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自家製の「ちりめんじゃこ」をいただいていると、「あれ、食べてみる?」とご主人。
「あれ」って何?と思ったら前回話しをしていた「冷やかけ」のことでしたよ。

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ちょっと小ぶりの器でいただく「じゅん菜の冷やかけ」。
じゅん菜の下に白く見えているのはととろです。

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寒天質なぬめりの中に閉じ込められた緑の若芽が、いかにも涼しそうじゃないですか。
ダシの利いた汁とともにかき込みます。

この「冷やかけ」は将来的にはメニューとして追加されるのかも。。。
いまのところ無さそうですけどね(笑)。


さて、そろそろお蕎麦にしますよ。
志ま平さんの冷たいお蕎麦は全部で4種類。

・おせいろ  900円
・深山  1000円
・二色せいろ  1100円
・鴨汁せいろ  1200円

そのなかから今回は「深山」をいただく事にしました。
「深山」は玄蕎麦挽きぐるみの十割で、太めの田舎蕎麦です。

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実は今回食べに来たのは「蕎麦Web」の事もありましたが、志ま平のご主人から「変わった蕎麦の実が入ったから食べにおいでよ。」と誘われていたこともあるんです。

このお蕎麦は、志ま平のご主人が納得のいく在来種を探して、やっと見つけてきたものだそうです。

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見るからにごつごつしたお蕎麦は、玄蕎麦の挽きぐるみ十割です。

笊をもって鼻に近づけると、だだちゃ豆を思わせるような濃厚で甘味のある香り。
そのまま汁を浸けずに口に含むと、その穀物系の甘味に圧倒されますよ。

「この蕎麦の実を使っちゃうと今までのに戻れないねぇ。」と笑いながら話すご主人。
今年の分はもう残りが少ないけど、この秋の収穫分はしっかり確保するそうですよ。

残り少ないなら、少しでも多く食べて帰ろう(笑)

「もう一枚お代わりお願いします♪」

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ところで志ま平さんでは、昨年の12月頃から「深山」だけは手挽きで挽いてます。
狭いけど機能的にまとめられた蕎麦打ち部屋で、毎日蕎麦を打つ前に挽いているそうですよ。

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この世界に入って40年になるというご主人は、以前は石臼を何台も持ち、手挽きをしていたそうです。
ここ何年かは中断していましたが、昨年暮れから手挽きを復活。

さらに美味しいお蕎麦を求めて在来種を探し始めました。
今回私が食べたお蕎麦の実を見せて貰いましたよ。

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折角アップで撮った写真ですが、粒の小ささがわかるように実物の大きさに近づけてみました(笑)。

上でも書きましたが、この蕎麦の実も残り僅か。
今日はたっぷり食べましたから、来年3月頃を楽しみに待ちましょうかね。

巽蕎麦 志ま平
■住所: 東京都新宿区納戸町33
■電話: 03-5261-8381
■営業時間: 12:00~14:00/17:30~22:00
■定休日: 日曜日
■アクセス: JR市ヶ谷駅 徒歩10分、都営地下鉄大江戸線 牛込神楽坂駅 徒歩5分