HOMEMagazine > 乾麺の正しい茹で方、ご存知ですか?

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乾麺は、ほんとうは、とてもおいしい食べ物です

                           写真と文 片山虎之介

 年越しの日が近付いてきて、蕎麦好きの方は、「さて、今年の年越し蕎麦は、どこで食べようか」と、考えておられることでしょう。
 年越し蕎麦は、蕎麦店で食べる方も多いけれど、自宅で夜更けに、夜食として食べるという方も、たくさんいらっしゃいます。むしろ、こちらのほうが多いのかもしれません。
 自宅で夜中に蕎麦を食べるとなると、蕎麦打ちを趣味にしている方はいいけれど、そうでない方は、カッブ麺とか、あるいは乾麺を茹でて年越し蕎麦にするということになりますね。
 乾麺を台所で茹でながら、「これも一応、蕎麦だから・・・」などと、自嘲気味につぶやいたりするのかもしれませんが、ちょっと待ってください。乾麺は一応ではなく、立派な蕎麦なのです。
 乾麺を「一応は蕎麦」と認識されている方も、乾麺のほんとうのおいしさを知ったら、きっと驚くことでしょう。乾麺は、実は、とてもおいしい食べ物なのです。
 
_DSC6991.jpg 乾麺をまずくする原因は、茹で方が適切でないところにあります。正しい茹で方をご存知ない方が、なんと多いことでしょう。
 乾麺の味というと、シンが残って、粉っぽい味がして、店で食べる手打ち蕎麦とは、似ても似つかない味だと思っている方が多いのですが、それは「茹で足りない乾麺」を食べているからなのです。
「袋に書いてある指定の茹で時間通りに茹でると、いつも茹で足りない感じだから、私は指定の時間より、3割くらい長い時間、茹でるようにしています」という方も多いけれど、このようにすると、麺の外側は茹で過ぎで溶け崩れ、妙に柔らかくなっているのに、それでも中心部には粉っぽい味が残っていたりします。
 それは、もしも乾麺に心があったなら、なんとも不本意で悔しい状態なのです。「私は、もっともっと、おいしいのだから、きちんと茹でて味わっていただきたいわ」と、乾麺の性別はわかりませんが、そのように思っているに違いありません。
 
 そこで、今年の年越し蕎麦は、きちんと茹でた乾麺を、味わっていただきたいと思うのです。
 乾麺の正しい茹で方のポイントを、以下にご紹介いたします。
 
 まず、基本的に守らなければならないことは、大量の湯で、一人前ぐらいの少量の乾麺を茹でる、ということです。
 必要な道具は、3リットル以上は入る大きな鍋です。
 これが必需品です。
 なければ、この際ですから、ホームセンターで購入してください。これから毎年、年末に使うことができるものなのですから。
 その鍋に、八分目ほどの水を入れて、沸騰させます。
 ここが大切です。
 乾麺を茹でるには、沸騰を維持することが、とても重要なのです。
茹でる4998.jpg 温度を下げてはいけません。ずっと沸騰させ続けてください。
 沸いている大量の熱湯の中を、少量の乾麺が、ぐるぐると泳ぎ回っている状態。これが乾麺が「ああ、いい気分」と言っている状態なのです。
 この状態を、指定の茹で時間いっぱい保ったなら、蕎麦を引き上げて、水道の水で洗います。手早く水切りをしたら、ざるに盛って完成です。
 これが乾麺の美味しさをキチンと引き出す、正しい茹で方なのです。
 間違った茹で方と、どこが違うかというと、まず、少ない湯に多量の乾麺を投入するようなことをしていません。
_DSC5008.jpg そんなことをすると、湯の温度が下がり、沸騰が止まり、静かな状態になってしまいます。再び、沸騰を始めるのは、指定の茹で時間の終了が近付いたころでしょう。これでは、茹で不足になるのは当たり前です。蕎麦を湯に投入した直後から、再沸騰を始め、以後、時間の終わりまで、沸騰させ続けなければ、美味しい蕎麦にはならないのです。
 二回、三回と茹でると、湯が濁ってきて、沸騰させると吹きこぼれやすい状態になってきます。だからといって、火力を弱めてはいけません。これをすると、また失敗の原因になるのです。
 湯が濁ったら、どんどん新しい湯と取り替えてください。ここでケチると、まずい蕎麦を食べなければならない結果に直結します。
 いつも湯と麺の量を、理想的な状態に保って、茹でていただくのがポイントです。
 そうすれば、「え ! これがほんとうに乾麺なの?」と驚くような、おいしい蕎麦を味わうことができるでしょう。
 ネット上で、茹でる前に乾麺を水にひたしておくという方法が書かれていますが、これは、本来の食味とはちょっと違う味になってしまいます。実際に試して、比べてみていただくと、すぐにわかります。

美味しい蕎麦つゆは、こうやって手に入れる

 さらに、もうひとつ。
 家庭で蕎麦を食べる場合に立ちはだかる問題は、蕎麦つゆですね。
 自分で蕎麦つゆを作ることができる方はいいのですが、そういう方は多くはありません。ほとんどの方は、市販の蕎麦つゆを使うことになるのですが、これが難しいのです。残念ながら、おいしい蕎麦つゆに巡り会うことが、とても少ないのです。
 では、どうしたら良いのでしょうか。
 おすすめの方法は、市販の蕎麦つゆを買ったら、スーパーで、辛味大根を購入していただくことです。辛味大根がなければ、普通の大根でも結構。蕎麦を冷たい盛り蕎麦として食べるとき、蕎麦つゆの中に、この大根おろしの、できれば辛さの強い部分を、たっぷり入れて味わっていただきたいのです。まるで魔法のように、蕎麦の味が変わります。
 嘘か、ほんとうか、真偽を確かめる意味でも、今年の年越しには、ぜひ乾麺に挑戦してください。

 なお、乾麺のおいしい食べ方については、12月10日に発売になった「サライ」(小学館)に、片山虎之介が担当した蕎麦特集の中で、おすすめの乾麺の食べ方を詳細に記しています。ぜひ、そちらも参考にしてください。
 「サライ」には、取り寄せできる、おすすめの乾麺も、何種類か紹介してあります。

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