HOMEMagazine2012年蕎麦Web博覧会 > 一日一組限定の蕎麦屋「そば工房 玉江」 -ソバリエ前島-
文・写真:ソバリエ前島


玉江は蕎麦屋さんの中でも実にユニークな蕎麦屋さんである。一日一組限定である。人気店のため予約が二年待ちとなる。それだけに訪問する楽しみは格別である。
初訪問は2004年でありその後二年おきに訪問している。霞の会のメンバー、蕎麦春秋の編集者、蕎麦屋de819の会でお邪魔して、今回は4回目の訪問である。今回はソバリエ8期生笑ィ八会のメンバーの企画案でソバリエグループが総勢16名、賑やかな会だった。最初から最後まで蕎麦である。蕎麦好きにはよい懐石であった。

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このお店は行き方によってはすんなり行く人と迷ってしまう人かいる。迷わない秘訣はやはりお店のホームページから印刷して持参する事を薦める。商店街を抜け、細い道を10分も進むと、マンションの一階に看板が見えてくる。ロケーションとしては
一軒家レストラン。自宅のリビングのような小さなお店。8名掛けのテーブルが2つ並んでいる。テーブルには参加者の「名前」入りの献立が、席表代わりに置かれている。

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店名の由来はどのお店でも聞いてみる。お店によってはご主人が丁寧に教えてくれる、今回の玉江も聞いてみるといろいろと奥が深い。店主のご出身は埼玉県久喜市、「玉」は埼玉から、「江」はもともと久喜市に合併する前の江面村から一文字ずつ取った。ご主人はその久喜市の畑で蕎麦の栽培をされている。

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焙炉(板わかめ)
この大きな焙炉は、根津「鷹匠」にもあった。カラリと水分が飛ばされ磯の香りがふんわり。塩味がしっかりしていて、蕎麦前の肴としては良い。しかもたっぷりがうれしい。

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焼味噌は昭和に蕎麦屋の定番になったものらしい、極めてシンプルな肴で作り方も簡明でこれは以後、あっという間に蕎麦屋に広まった。ほんのり甘めの西京味噌に、蕎麦の実、さまざまな香味野菜が入っている。炒った埼玉県産のゴマも入っている。

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蕎麦サラダのメニューもここ数十年のメニューである。最近では丁寧なところでは蕎麦揚げ用に蕎麦を打ったものを揚げるところもあるらしい「下からグルッと混ぜてから召し上がってください。」と供された大皿には、蕎麦の赤い茎・緑の葉、晒した真っ白な玉ねぎが鮮やかである。

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蕎麦クレープ
味付けは肉味噌などが用いられる。見事に切り揃えられた胡瓜、葱、貝割れ大根、錦糸卵。滑らかに薄く焼かれたそば粉のクレープ。肉みそが添えられる。この味噌は見た目ほどにしょっぱくない。お聞きすると豚肉と野菜がたっぷり入っているとのこと。中華の豚まんの餡のような深みのある味わい。

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早そば。
蕎麦掻は昔のものは中に野菜を入れたと、亭主から説明があった。これは相性のよい大根の細切りを練りこんであった。大根は桂むきではなく、線きりで食感の当たりをよくしてあった。切り蕎麦は時間が掛かるので、長野の郷土料理の一つであり農作業の時にすぐに食事が出来る、早く食べられると言う意味らしい。温かいそば汁に刻み海苔と葱、そして山葵でキリッと引き締められ、なんとも美味い。

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鴨の南蛮漬け
甘酸っぱい南蛮酢がまたいい。もちろんこんがり焼いた香ばしい葱も、鴨はももの部分。なんとそば粉を両面につけてかりっと焼いているとのこと。肉っ気が少ないそば料理の中で、豪華でボリュームある一品。

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そば法度。
かつて蕎麦を食べるのを禁止された時代に、蕎麦を味噌汁や汁物に隠して食べたのが由来だとの説明があった。ご法度そばという意味らしい。米の年貢を取り損ねた領主が、稗や粟、蕎麦まで取ろうとして、百姓が隠してそれを食べていた事が由来らしい。ご法度はほうとうがなまった、東北のほっと料理から来ているという説もあるらしい。

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そば掻き揚げ
一口サイズなのがうれしい。さっぱりペロリといただいてしまう。カラリと香ばしく揚られ、中はふんわり柔らかいそば掻き。大根おろしをたっぷりのせて甘目のそば汁をたっぷりかけていただく。

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なすのそばみそ掛
茄子揚げ、これに甘辛い味噌をかけてある。蕎麦の実も振ってあり玄挽きのそばは亭主の自家栽培のもの
締めの蕎麦はせいろをいただいた。埼玉県久喜産常陸秋そばを端正に切り揃えた細打ちの見事なそば。ふわりとそばの香りがうれしい。そばの存在感がしっかりしていて、そのままで美味しい。添えられた藻塩を付けながらいただくのもおすすめ。
うれしいお代わりは、田舎そば。玄蕎麦の星もところどころに散る、濃い色のお蕎麦。辛み大根の入った汁によく合う。

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締めの蕎麦はせいろをいただいた。埼玉県久喜産常陸秋そばを端正に切り揃えた細打ちの見事なそば。ふわりとそばの香りがうれしい。そばの存在感がしっかりしていて、そのままで美味しい。添えられた藻塩を付けながらいただくのもおすすめ。
うれしいお代わりは、田舎そば。玄蕎麦の星もところどころに散る、濃い色のお蕎麦。辛み大根の入った汁によく合う。

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レモンリキュールのジュレはさっぱりした大人の味わい。細かく砕かれた香ばしいそばの実とプルンとしたジュレの食感の違いが、面白い。

【お店情報】
もともとご主人の中村進さんは職人であったそうだ、第二の人生としてそば関係に手を染めて最初は手打ちのそば用具の販売をしていたが、特別に予約のみでそばを提供するようになった。麺棒は隙間がなくよくできている麺棒と出張そば打ち、旅行用に持ち運べる麺棒もあるようだ。

そば工房 玉江
■住所: 文京区本駒込5-34-6
■電話: そば工房03-5814-0955/予約専用03-5814-0977/事務局03-3828-0654
■営業時間: 完全予約制 概ねお昼の時間~夜の時間までをご相談にて。
■定休日: 不定
■アクセス: JR駒込駅 東口徒歩9分、東京メトロ南北線 駒込駅 徒歩10分
■蕎麦打ち体験教室: 完全予約制  材料費共3500円二八のそばを5人分打って持ち帰り。試食もできる。
■手打ち蕎麦用具販売: こね鉢 麺棒 のし板 小間板 切り板 包丁 ブラシ
■その他
オリジナル製品を製作。特に麺棒は、吟味した木材を十分に天然乾燥をして加工したものを取りそろえている。