「おろしざんまい」
『やす竹』は、蕎麦と天ぷらのうまい店として、福井の蕎麦通には良く知られた店だ。この店ではメニューごとに、福井伝統の一本棒で打つ蕎麦と、現代の流れを組む三本棒で打つ蕎麦を、使い分けている。
香り高い十割蕎麦の太打ちのためには、伝統の一本棒・丸延しの技を使う。
三本棒で打つのは、するりと喉を通る、細切りの十割蕎麦。
二通りの打ち方で打たれた蕎麦は、それぞれ異なる個性を持つものになる。
主人の北谷敏一さんは、二通りの打ち方を会得し、客に福井蕎麦本来の味を楽しんでもらおうと、手間を惜しまず蕎麦を打ち分けるのだ。
福井、伝統の蕎麦とは、どういう味なのか。
また、現代の流れを組んだ蕎麦とは、どういう味なのか。
一本棒、三本棒、ふたつの蕎麦は、どう違うのか。
福井蕎麦の奥深い世界を探求したいと思う方に、『やす竹』は、おすすめの店である。
ここに紹介するのは、まずは『やす竹』の代表的なメニュー「おろしざんまい」だ。
3皿に盛り分けた蕎麦と、3種の「おろしだし」がセットになっている。この蕎麦を味わえば、福井の郷土蕎麦「越前おろしそば」の、味のバリエーションを知ることができる。
蕎麦は、一本棒で打った太打ちか、あるいは、三本棒で打った細切りか、どちらでも好きなほうを選ぶことができる。
「おろしざんまい」に添えられる3種の「おろしだし」は、次のようなものだ。
ひとつは、最も一般的な、大根おろしと、そばのだしを合わせた「おろしだし」。
ふたつめは、大根おろしの絞り汁に生醤油を加えただけの、昔ながらの「おろしだし」。
さらにみっつめは、とろろを加えた「おろしだし」だ。
三種の蕎麦を食べ終えるころには、福井蕎麦のうまさと奥深さに、すっかり魅せられていることだろう。
もうひとつ紹介するメニューは、この店の、もう一本の柱「大海老天ざる」だ。これも『やす竹』では、「おろしざんまい」と人気を二分する代表的なメニューである。
このメニューも、一本棒の太打ちか、三本棒の細切り、どちらか好きなほうを選ぶことができる。
『やす竹』の魅力は底知れない。メニューの数も多く、主人の蕎麦打ちの技術と、うまさへの探究心は、日々鋭さを増していく。
この毎日進化を続ける名店に何度も通い、多彩な福井蕎麦の食文化を堪能していただきたい。
やす竹/福井市文京7-9-35
電話 0776-26-7281
営業 11時~16時 (L.O.15時30分)
17時~21時30分 (L.O.21時)
(第1・第3火曜は11時~16時のみ)
定休 水曜