松江から出雲大社に向かうには、一畑電車というローカル線に乗る。のどかな車窓風景を楽しみ、出雲大社前駅で下車。下段に紹介する『荒木そば』は、出雲大社のすぐ近く。いわゆる門前蕎麦屋だ。
出雲蕎麦の代表的なメニューは、「割子蕎麦」と「釜揚げ蕎麦」だ。割子とは小さな丸い漆器のことで、ここに蕎麦を入れ、重ねて供する冷たい蕎麦が割子蕎麦だ。釜揚げ蕎麦は、釜で茹でた蕎麦を、茹で湯と共に丼に盛り、熱いままいただく。出雲の名店では、この2種類ともに味わってほしい。
神代そば 玄ソバにも、蕎麦つゆの材料にも気を配り、丹念に仕上げられた割子蕎麦 石臼挽きした蕎麦粉を、つなぎなしの生粉打ちにする手打ち蕎麦店。ていねいに作られた蕎麦は、地元の蕎麦好きにも人気が高く、昼時には行列ができる。 蕎麦つゆは地元の酒を使って工 夫された味。個性の際立つ店だ 島根県松江市奥谷町324-5 |
荒木そば屋 卵、もみじおろし、長芋、海苔、刻みネギの薬味で味わう「割子三代そば」 創業は天明年間という老舗中の老舗。200年以上の歴史がある。出雲大社の鳥居に向かって、左側の道を進んだところにある店。メニューは多彩で、出雲蕎麦の伝統のバリエーションが楽しめる。 店で使っていた昔の割子。四角いのが江戸時代、小判型が明治から大正にかけて。現在では丸い形となっている。 島根県出雲市大社町杵築東409-2 |
献上そば 羽根屋 釜揚げ蕎麦は蕎麦つゆを注いで味わう 創業からおよそ150年は経つという老舗蕎麦店。明治40年に、のちの大正天皇がこの地を行幸した際、『羽根屋』の蕎麦を召し上がった。それを記念して「献上そば」という言葉を屋号に付けたという。出雲蕎麦本来のスタイルの、濃い色の手打ち蕎麦が味わえる。 出雲蕎麦は、一本の麺棒で丸くのす 島根県出雲市今市町本町549 |
●写真協力 サライ (小学館)