HOMEMagazine2012年蕎麦Web博覧会 > 国分寺 「きぬたや」
文・写真:つれづれ蕎麦

このところ、又あのお蕎麦が食べたい、
ご主人に会ってお話ししたい...、
とじわじわと思っていたところ、お友達からのうれしいお誘い。

まだよく歩けはしないけど、この予定はどうしてもキャンセルしたくない...

...と、何とか辿り着いた国分寺駅、
いつになったら秋は来るのか、今日も太陽がぎらぎら。
暑さに加え、さすがに歩いて辿り着く自信がなく、
今は案じ、タクシーの助けを借りよう。

「お鷹の道にある、『きぬたや』さん、お願いします」
と告げれば、すぐ分かってくれた運転手さん、
乗りこめば、あっという間に、目の前に到着 。

こんな時、タクシーって本当にありがたいな...

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ああ、懐かしい...、思えば早1年ぶり
ゆったりとして穏やか、優しく暖かな、温もり満ちた佇まい。
来る度に、じわじわとご主人のお人柄が染み出てきてるよう。

扉を開けば、すぐに笑顔のご主人がお出迎え。
「あれっ、どうしたのっっ?」...と、足の包帯に驚かれ、

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まあまあ、そこに座って、と、すぐに冷たいお水を出して下さる。
天井にテーブル、椅子に柱...
山の中で出会ったような、素朴な木の温もり溢れた空間に、
ほっとさせられ、途端に和み癒されるよう 。

...と、ぼおっと寛ぎ初めていると、汗を滴らせて待ち人到着 。

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早速、ハートランド(小瓶)を頂き、乾杯してくぅ~っ。

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お通し、蕎麦の耳の「揚げ蕎麦」は軽やかポリポリ。
塩加減もぴたり、この揚げ蕎麦、美味しいナ...

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と、飲みほしたら、お酒も少々...

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どれにしようか眺めていたら、「半々づつ出しましょう」、
と、注いでくれた、「磯自慢」に「開運」涼々。

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添えて出された、胡瓜の浅漬けに、
大好きな「きぬたや」さんの「奈良漬」を頂き、しみじみ 。

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頼んでいた「旬の天ぷら盛り合わせ」も、飲んでる我々には、
揚がった順から、都度出してくれるのもうれしい、
インゲンに、オクラに、ピーマン...

んっ!、天麩羅、以前に比べぐんっと美味しくなっている

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続いて、ズッキーニに子供ピーマン、ゴーヤに伏見トウガラシ...

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南瓜にさつま芋はほこほこっとして甘みが濃く、
茄子に玉ねぎの串刺し天麩羅。

衣薄く軽やかでさっくさく、どれもがとても美味しい野菜天 。

「去年の夏あたりから、徐々に昔みたいに戻しているんですよ」
蕎麦を始め、天麩羅も素材を変えてみたんだそう。

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ちょこちょことお話しを聞きながら、お酒のお替り。
「黒龍」に「獺祭」を頂けば...

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これが楽しみだった、蕎麦刺し二種。

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蕎麦湯に浸る、一反蕎麦の「お浸し」は、もっちもち 。
丸抜き、玄挽き二種の味わいの違いも楽しく、

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冷水でさらした「刺身」と食べ比べ。
刺身の濃厚な味わいに、これから食べる蕎麦への期待高まり...、
早速お蕎麦、お願いします 。

待っていました、と語るような頬笑みで、
「今日は、4種打ってるので、順番に出しますね」
と、やわらかな口調で応えてくれ...

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程なくだされた1枚目は、
福井の丸岡在来種、そのヌキ実を手挽きし、
24メッシュで篩い打たれた、鮮やかな鶯色帯びた繊細な細切り。

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清楚で清純、透け浮き見える丸抜きの粒を眺めていれば、
すぅ~っと清々しい蕎麦の香りが鼻孔をくすぐる。

噛みしめれば、しっとり心地のいい歯ごたえに、
ふわっと広がる溌剌とした蕎麦の味わい。

優しく労わられるような、穏和な味わいに、
ああ、これこれ、山中さんのお蕎麦だ...
とじ~んと感じ入りながら食べていたら、あっという間。

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間髪置かず置かれた2枚目は、全く異なる姿 。

玄挽き、長野浅間の、信濃一号。
手挽きし打たれ、篩い24メッシュの挽きぐるみ。

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透けるようなグレー色、輝くような透明感、
角はキリリと立ち、野趣あふれながらも、繊細 。

手繰り上げれば、渋い香ばしい香りが漂い、
口に含めば、もちもち感強く、かさりと掠める欠片の感触。

噛みしめれば、焙煎したような香ばしさ、
力強く、包み込むような大らかさ、これは美味しい...

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と、余韻に浸る暇なく、続いて出された蕎麦が、又美しい...

新潟以外にもあったなんて...と、思わずびっくり、
島根雲南の「小そば」だそう 。

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それの玄蕎麦を手挽きし、24メッシュで篩った蕎麦の、
玄挽きでありながら、このはかなさ...
透ける薄墨の中に、ぽつぽつ浮かぶ様々な色合いの蕎麦の粒。
見つめている間に漂う、芳しき蕎麦の香り...

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その姿に見とれ口に含めば、...!!
なんという感触 、
プルンっと跳ねるようなぷりぷり感。
噛みしめた途端、粒が弾けたかのように広がる、
甘みを含んだ、豊かな穀物の香ばしさ 。

思わずゾクゾクするような快感に、
語りかけてくるような芳ばしい味わいに...
「きぬたや」の蕎麦の原点を見たかのような、不思議な感覚。

蕎麦の精霊を思わせる、この蕎麦。
これは、た、たまらな~い...

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と、余韻引きずっているところに、すっと出された最後の一枚。
1枚目と同じ、福井の蕎麦を電動「ひこべい」で挽き、
40メッシュで篩った、微粉の蕎麦。

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楚々として軽やか、ふわっと喉落ちる上品な味わい。
「一番、ノーマルな蕎麦なんですよ...」
との蕎麦は、奇抜さを抑えた品ある美味しさ 。

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ほおっと一連の蕎麦を食べ終え、出された蕎麦湯は、
まろやかに白濁した、熱々の蕎麦湯。

たっぷりと頂きながら、改めて語り始めるご主人とのひと時。
優しくて、あったかい、
ゆっくりと語ってくれるご主人の一つ一つの言葉に、
心から癒され、和ませられた、午後のひと時。

ご馳走様でした~

無理してでも来てよかった、と心から。
要予約で夜の営業も始めたそうで、「夜も来てみて下さい。」
の言葉がとてもうれしく...

ぜひ又、ご主人に、そしてあの蕎麦に癒されに訪れよう...


■住所: 国分寺市東元町3-19-34
■電話: 042-326-7399
■営業時間: 11:00~16:00/17:30~20:00(夜の部は15時までに要予約)
■定休日: 月曜日、第1、3火曜日
■アクセス: JR国分寺駅 徒歩10分、JR西国分寺駅 徒歩20分