このお店は、20年以上前から名古屋の蕎麦屋の代表格として有名で、店主はもともと出前蕎麦屋の息子さんで、千葉県の柏の「竹やぶ」で修業されたとのことです。そのころから時々訪れていましたが、私も未だ「蕎麦」に目覚めておらず、お店の良さというものが余り強く感じられませんでした。最近10年ぶりに3回ほど続けて訪れる機会がありましたが認識を改めました。
つい先日の訪問時は、せいろ(1枚700円・2枚1200円)と小ぶりの海老の天ぷら(1200円)、卵焼き(600円)を頂きました。注文して間もなく、鮫皮のおろし器にのった一本ワサビ、たっぷりと盛られた辛味大根のおろし、トウガラシ粉がそれぞれ品の良い、ごく小さな手桶風の器に入れられ、セットで運ばれてきましたが、それだけで他のお店と違う期待感が高まります。
最初に出てきた煮おろしの卵焼きは、他の店では見られないまん丸の形をしており、大きめの、これも丸い器に入れられ、おろしの入ったたっぷりの醤油味の汁に、ひたひたに浸されて出されましたが、何かしつらえの妙を感じました。幾重にも丸く巻いて焼かれた熱々の卵焼きは、程よい味加減と香ばしさも感じられて、おいしいと思いました。
次に、せいろと海老天がセットで運ばれてきましたが、上品な皿にこんもりと盛り上げられた小ぶりの沢山の海老の天ぷら(小野菜などが少し混じる)、丸いざるに盛られた蕎麦、しっかりとした厚みとやや華やぎを感じる模様の蕎麦猪口と、赤い漆塗りの辛汁の入った容器、そして二つの小鉢が一つの盆にとりどりに並べられた眺めは、食べる前のワクワク感を誘います。
さて、メインのせいろですが、二八の細打ちで、夏というのに蕎麦の味わいは甘くしっかりとありますが、麵が私の好みにしては少し柔らかめでした。
辛汁は、少し甘みを感じましたが、醤油、みりん、だし汁が混然一体となり、麵とよく絡まっておいしくいただけました。
ただ少し反省ですが、山葵を自分でたっぷり摺りおろし、香ばしくからりと揚がったけっこう量もある海老天(おいしい)を食しながら、蕎麦も手早く手繰らねばならず、少し余裕のない食べ方をしてしまいました。
なお、蕎麦湯は、味が薄い時には補強用として蕎麦粉を水で溶いたものが瓶で供されますが、これを多い目に入れると蕎麦粉の風味そのものがガツンとくる感じで、これはこれで新鮮な味わいで結構なものだと思います。
正統派の蕎麦屋として、蕎麦料理、おつまみ類、季節限定メニュー等豊富ですが、そば前はワインまであるもののそれぞれ銘柄は極端に絞っており、これも一つの見識と言えるかもしれません。
また、卵焼きにしても「染めおろし」か「煮おろし」か選択でき、海老天も才巻海老や大車海老まで揃え、物によってはより香ばしさを出すため独自の「炙り」を加えることを選択できるなど、店主の工夫の熱心さがうかがわれます。
従業員の応対もテキパキして明快で、良いと思いました。
全体の値段設定も、店内の高級感や供される料理・サービスの品質からみて大変リーズナブルと感じました。
店名 | 蕎麦 春風荘(名古屋市) |
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電話番号 | 052-331-5075 |
住所 | 愛知県名古屋市中区千代田3-31-20 千代田セントラルビル1F |
アクセス | 地下鉄鶴舞線「鶴舞駅」またはJR中央線「鶴舞駅」徒歩10分 |
営業時間 | 11:00~20:00(L.O) |
定休日 | 木曜日(祝日の場合は翌日) |
平均的な予算(昼) | 1500~2500 |
平均的な予算(夜) | 2000~3000 |
予約 | 可 |
クレジットカード | 不可 |
個室 | 奥に小座敷あり |
席数 | 30席 |
駐車場 | 有り |
禁煙 | 分煙 |
アルコール | 有り |
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