美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

お店は、通りに面した階段を下りた半地下にありますが、長めの暖簾を垂らした入り口も何となく風情があり、店内は、広めのオープンキッチンや、ゆとりをもった椅子席の配置などで解放感と清潔感が感じられます。

　このお店の蕎麦は、やや柔らかめで適度の腰があり、蕎麦のうまみがじんわりと感じられ、わたくし的には好きな麵です。

　よく蕎麦そのものの味わいがわからないという人が見えますが、このお店はお勧めと思います。

　また、蕎麦の味を噛みしめ味わうという点では、きしめん風にかなり幅広に平打ちした「きしそば」というメニューがあります。単に名古屋名物のきしめんにちなんでというキワ物ではなく、田舎そばの太打ちも結構ですが、こちらの方は、口の中で一度に味わう蕎麦の表面積もひろいので、風味が一層強く感じられ、素人感想ですが、より「蕎麦切り」らしい（？）と思ったりもします。

　辛汁は少量ですが、東京風の辛さの勝った物でなく、やや甘口で、ほんのりと鰹の風味が感じられ、蕎麦の味わいを邪魔しない節度ある仕立てです。

　メニューも、蕎麦屋酒が味わえる「一品」が一通り過不足なく用意されており(酒肴も入った「蕎麦屋酒セット」のメニューもあります)、カウンターの一人酒でほろ酔い気分も楽しめます。

　使っている器も洒落ていて、店全体に店主の熱意とセンスの良さが感じられるお店です。