美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

保田からの県道鴨川保田田線は房総半島を横切っている。房総には高い山はないのだが、それでも鴨川方面に向かうと山道らしくなる。それらしくなったあたりに突然出てくるのが当店で、周りにはコミュニティセンターがある、というだけで畑が少しだけ広がっている程度のあっけらかんの場所。

店は木造平屋で、大なき木製の戸が若干入りにくい印象だが中は意外に広く、よく見るとなかなか立派な作りになっています。大木を加工したテーブルがいくつか置いてあるほか、鳥のはく製がにらんでいたり、棚に「鋸南町史」がある中に白土三平の本が混ざっていたり、壁に御主人の民謡大会表彰状がかかっていたりして、退屈しません。ダルマストーブが鎮座しているのも御愛嬌。

そうそう、そばは田舎そばですが、うどんと見まごうほどの太めでもっちりした食感が楽しめます。やや小麦粉の比率が高いかもしれませんが、噛むほどに粉もんの味覚が楽しめます。もり500円、安い！　私が食べた鴨せいろだって850円です。お店は、老人夫婦と手伝いの女性の3人ですが、お客に地元の人が多いので和気あいあいです。