本日は、番外編というべき内容ですが、愛媛県伊予郡松前町にあります「いよ翁」というそば店にて、ここの店主が修業をしてきた北広島町(旧 豊平町)にある有名店「達磨 雪花山房」の高橋邦弘氏がそば打ちをするという機会がありましたので、そのレポートをお送りします。(なお、今回ご紹介したいよ翁さんは、普段大変美味しい自家製粉のお蕎麦を出されるお店です。愛媛に来られる際は是非お寄りください)
そば店の非常に少ない愛媛県に住んでいる者にとって、貴重な体験ができるとあって、お店とHPだけの告知でしたが、日曜日1時間ごとの入れ替え制の計120名があっという間に埋まり、高橋氏の好意により急遽追加となった翌日の月曜日の会に滑り込むことができました。
本家の店舗によく似た造りの外観のお店を訪ねてみると、「いよ翁」のご主人が直々にお客様を迎えてくれました。普段の営業とは勝手が違うため、大変忙しそうです。店内に入ると、通常の営業では客席の場所にのし台を設置して、すでに高橋氏がそばを打っています。以前テレビでみたままの姿で、タオルをはちまき代わりにして、口をぎゅっと結びお弟子さんがまとめた2kg玉を次々と延していきます。その所作には無駄な動きはひとつもなく、止まる事なく、リズミカルな包丁の音も加えて、ひとつの演舞を見ている気分になります。贅沢ですが、そのそば打ちを見ながら、打ち立て・茹でたてのお蕎麦をいただきます。
9カ所ある蕎麦の契約農家の中から、本日は北海道・長野・茨城(日立)の3種のブレンドのそば粉で二八のせいろをいただきます。新そば独特の薄い緑色をした、細めのお蕎麦をまずはそのままで....新そばの爽やかな穀物の香りがぬけ、見た目の麺の細さからは想像できない程のしっかりとしたコシに驚きます。後味はかすかな甘みを感じ、また次の一口を誘います。本日はコース限定でせいろが2枚でてくるので、そのまま汁をつけずに食べ進みました。いわゆるホシは入っていませんが、自家製粉のそば粉全体から、上品な香りが漂い、茹で具合もちょうどよく甘みもでており、何もつけなくて美味しいお蕎麦です。
続いて、ざる汁につけてみます。もともと一茶庵で修業されていたと聞いていたので、もっと江戸前の辛汁を想像していましたが、非常にマイルドな丸みを帯びたざる汁です。醤油も出汁もそれほど強く主張はしてこない、万人に受け入れられる優しい雰囲気のざる汁です。薬味の辛味大根を加え、少しアクセントを足していただきました。
食事があらかた終った頃を見計らって、高橋氏がいろんな話を始め(話上手です!)お客様からも、蕎麦の産地や玄そばの保存方法など質問が飛びます。私だけでなく、皆さんお蕎麦を心から楽しんでいますし、よく勉強もされています。笑いの絶えない楽しい話が続きましたが、今のお店の話では少し顔を曇らせて、先日の某番組放映後は、北広島の山奥の店に大勢が詰めかけ、対応しきれずに心苦しいと言われていました。(17席の店に、約2000人が来られたそうです)
毎日、何百人前のそばを打ち続けて、そばを打つ姿勢に腰が曲がり、それでも「そばを打つことが好きだから苦にならない」と笑顔で言える高橋氏の人生がつまった、大変美味しいお蕎麦をいただきました。1時間たっぷりと堪能して、食事を終えたお客様から自然と拍手がおこる幸せなひとときでした。
店名 | 手打ち蕎麦 いよ翁 |
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電話番号 | 089-984-3083 |
住所 | 愛媛県伊予郡松前町鶴吉5-5 |
アクセス | 予讃線 伊予横田駅から徒歩15分 |
営業時間 | 昼 11:00~15:00 |
定休日 | 火曜日 |
平均的な予算(昼) | 1,500円 |
平均的な予算(夜) | |
予約 | 不明 |
クレジットカード | |
個室 | 無 |
席数 | 21席 |
駐車場 | 有 |
禁煙 | 禁煙 |
アルコール | 有 |
ホームページ | http://www3.ocn.ne.jp/~iyookina/ |