美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

　池田町商店街のはずれにあるＪＲ根室本線の踏切を渡った、真直ぐな坂道の両側は静かな住宅街が広がり、その途中にあるのが平屋造りのそば屋さんだ。

　店内に入ると、おかみさんの丁寧な対応に心を和ませてくれ、家庭的な温もりを感じさせる。

　おかみさん一人で切り盛りしていて今年で13年目を数え、そば粉は幌加内町からソバの甘皮だけを挽いた粉とソバ実のほぼ中心部分（一番粉）をそれぞれ取り寄せているという。その粉を季節に応じてブレンドしていて、その割合は常に微妙で今現在でも試行錯誤の繰り返しで、そばの難しさと奥の深さに探究心は尽きないという。このことがそば屋を続けられた要因ね！と笑顔がこぼれたおかみさんの顔は生き生きとしていた。

　幌加内産をブレンドしたそば粉を十割で手打ちしたそばは、淡褐色のやや太めのそば麺には甘皮の部分の星を見ることができる。しっかりとした麺の強さは噛めば噛むほど甘みが増して、そばの風味も優しい。

　つけ汁は、うま味を加えるのに椎茸からも出汁を取っているとのことで、少し甘みがあり薄めに作られている汁にそばをどっぷりと付けて食したほうがそばとの相性が好いようだ。

　店の近くには清美ケ丘公園が広がり、エゾフクロウが生息していたりと自然環境に恵まれ、ワイン製造では池田町の名が全国に広まったことでも有名で、ワイン城を訪れながらそば店に立ち寄るお客さんも少なくない。