美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

　太平洋の噴火湾側に面している八雲町は、平成の市町村合併で日本海側の熊石町と合併し、日本で唯一の二つの海を持つという町になりました。

　漁業は勿論のこと、酪農や農業の町としてのんびりとした風情が感じ取れる町でもあります。

　JR八雲駅の駐車場に車を止め、徒歩で線路に沿って歩くこと7分、道道43号に面した函館本線踏切の手前に店があります。

　店の入り口に「心を込めて営業中」の小さな看板が掲げられていました。暖簾をくぐって中に入るとご主人と奥さんが大きな声で「いらっしゃい」。

　町のそば屋さんという感じで田舎ならではのアットホームな雰囲気が好い。

　もりそばを注文すると「今日のそば粉は滝川産だよ、珍しいでしょう」と気さくに答えてくれました。そば粉は時期によって北海道内の各地から取り寄せていて、店を訪れる常連さんの多くは今日のはどんな味に出会えるのかと楽しみにしているそうです。

　角がシャキッとした薄灰色に輝いている、やや中細で星も見える十割の手打ち蕎麦は、数分前に打ち立てだったのか、そばの香が強く感じられ、コシの強さにも相まって噛み心地が好い。辛汁は濃厚な出汁の風味があり、ほんのりとした甘さのなかにキリットした辛さが、そばとの相性は抜群でした。

　食べ終わりに辛汁にそば湯(釜湯)を割って飲んだのだが、あまりの美味しさにそば湯と汁をリクエストしてしまいました。