美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

「奥丹波においしいお蕎麦屋さんがある」と聞いて、旅の途中で立ち寄ることを計画しました。最初に決めたのが「そばんち」さん。HPを見てみると、予約が必要とのこと。早速予約の電話をかけたのですが、少し時間が遅かったのか繋がらない。よく見ると大将の携帯電話番号が書いてありました。こちらでも予約を受け付けると書いてあったので、携帯に連絡してみました。すると大将は宮城県にいるとのことです。毎年夏には実家のある宮城県へ帰るのでお店は休業するのだとか・・・残念だぁ～と思いきや、今年からはお弟子さんがお店を開けているとのこと。

ここで少し説明。「そばんち」では通常の営業以外に、月曜日と水曜日は「そばんち月水」として、お弟子さんが修行を兼ねて開店されていて、割安料金で食べられます。つまり大将のいない今の時期は、お弟子さんが作る蕎麦を割安料金で食べられるのかな？と思いきや、完全に任せられるお弟子さんが今年はいるので、ご安心くださいとのこと。

これで安心して蕎麦を食べられる（ほっ）いきなり大将に電話をしたにもかかわらず、色々丁寧に対応していただきました。お店に伺う前から期待が持てそうな感じです。

 さて、お店の方ですが、国道175号から県道を少し入ったところにありました。古い民家を店舗に改築されているようでした。予約でオーダーしたのは「そば膳」です。それぞれの解説については後述するとして、とにかく既成概念を良い意味で無視したお蕎麦屋さんでした。そばをどうすれば美味しく食べられるか・・・それ以上でも以下でもない、単純にそばを愛されているという所に共感を覚えたお店です。

 ＜揚げそば＞付きだしの「揚げそば」です。（写真：揚げそば1参照）

＜ダシ巻き＞　（写真：ダシ巻き１参照）見ての通りふわふわです。薄口の返しと白だしで味付け、たっぷりの出汁を使ったダシ巻き。平飼いの鶏が産んだ黄身の濃い卵を使用されています。そば味噌との相性は抜群。卵の甘さと出汁が良い塩梅です。味噌は美味しいけど、味噌の味が勝ちすぎるかなといった印象です。

＜梅そばパスタ＞　（写真：梅そばパスタ1参照）ごめんなさい。正式名称を忘れました。地元で採れた野菜を使っているとのことです。梅の酸味は夏バテ気味の方でも食が進むのではないでしょうか？個人的には、梅の風味が強くて蕎麦の香りが消えてしまってもったいないと思いました。

＜辛味大根ぶっかけ＞辛味大根に酢だちをかけることで、綺麗なピンク色に変身！こういった演出はとても面白いとは思いますが、味の方は特に変わる訳でもないので、可もなく不可もなくといった印象です。お汁は、とても甘く味醂の甘さが前に出ていると思いました。お汁の甘さは好みの分かれるところだと思いますが、辛味大根と相性は良いと思います。

＜水そば＞蕎麦を単純に味わうにはもってこいの一品。荒挽きの蕎麦を太めに切ってあります。つまりよく噛んで食べると蕎麦の味を純粋に楽しめました。蕎麦の味については、次の荒碾盛りそばで・・・

＜荒碾盛りそば＞待ってました！盛りそばです。本日のそばは福井県の丸岡産でした。何も付けずにそのまま食べてみての感想ですが、丸岡産のそばは他の産地と比べて甘みがあると感じました。お店の方のお勧めの通り、次はお塩でいただきました。噛んで食べるとそばの香りはもちろん、特有の甘みが引き立ちます。お汁は甘め。個人的にはそのまま何も付けずに食べた方が美味しかった。もう少しお汁がすっきりと辛目だと、そばに合うように思いました。

＜そば掻き＞追加でオーダーしたそば掻きです。今までみたことのないような超荒挽き。写真を見てのとおりです。このそば掻きを作るために、別の荒挽き用の石臼を用意されていました。実は厨房から石臼まで、全部見せていただいた上に、親切に解説までしていただきました。蕎麦好きの方にはたまらないお店だと思います。今回さすがに厨房までは写真を撮れませんでしたが、次回伺った時は、もっと色々質問やお願いしてみようかなと思います（笑）。