美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

　福井県越前市の御清水庵で修業した店主（森本雅之さん）は、そばもお酒も肴も福井産品を主としてお客様をおもてなしする。まずはグラスビールで喉を潤し、福井の銘酒「黒龍」で一杯。肴は「へしこ」と「にしんの甘露煮」。へしこはお酒の肴というより、ご飯のおかずが一般的。しかし、この店では薄くそぎ切りにして、大根のツマを添えてある。普通のへしこより、塩辛さは抑えてあるものを、仕入れているという。にしんも柔らかく、お酒が進む。 

　さて、限定という「越前田舎ば」を注文。深鉢に盛られたやや太めの田舎そばは、外２で打つ。大根の絞り汁がたっぷりと、おろしが濃い目のつゆに入っている。小皿にきざみネギと花鰹。先ずはひと筋ふた筋、挽きぐるみの田舎そばの風味と香りを味わう。

　福井県産の秋新そばが始まったばかり。つゆにたっぷりと入った大根おろしのピリリとした味わい。これは食欲が進む。大根おろしは時間が経つと、酸化するので作り置きはせず、注文をもらってからおろすという。

　そば前で飲み食いしているので、お腹を考え普通もりにしたが、普通もりでも量は十分ある。少々物足りない時は、とろろ昆布で巻いたおにぎりとか、きびだんごのサービスもある。東京日本橋の御清水庵・清恵は兄弟子という。