5年近くご無沙汰していた戸無しの蕎麦屋さん。熊本県南小国町という阿蘇北外輪山と久住連山の谷間にある街です。近くには、全国的に有名になった黒川温泉もあります。私の家からは、約2時間半のドライブ。一日かけて、お蕎麦と高原を楽しむには、とてもピッタリの場所です。今回は、バンコクからの一時帰国中に、日本の美を求めて伺いました。
「店内の雰囲気」 駐車場から店舗までは、徒歩3分の穏やかな上り坂。苔むした地面と辺りを覆いつくす緑がとてもきれい。9月上旬のまだまだ太陽の光が厳しい日でしたが、木々のおかげで優しい光線の中を歩くことができました。母屋、離れとトイレの3棟からなる店舗は、時代劇にでも出てきそうな古い田舎家屋。峠のお茶屋さんという感じです。
店内は、黒く光る床やテーブルが行き届いたお掃除をうかがわせてくれます。
席に運ばれてくるお水は、グラスに1枚の紅葉が貼付けてあって、秋が近くまで来ていることを気づかせてくれました。秋が深まると、赤く色づいた紅葉がここに貼られるのでしょう。その頃また、来たい!と、思わせてくれる心遣いです。
「お料理」 メニュー選び: このお店自慢のお蕎麦は、「無量寿(むりょうじゅ)」。小国町でとれる玄そばを石臼でひいて、十割蕎麦として仕上げた一品です。大変貴重なものであることから、店主自ら、「蕎麦のダイヤモンド」というニックネームをおつけになっています。残念なことに、「無量寿」は、単品注文ができません。お野菜の煮物などの小鉢がついた蕎麦懐石のみでのサービスです。お店の特徴として、「お蕎麦がたっぷり食べられる」があります。長方形の板に乗せられたお蕎麦は、二人分はあるのでは?と思う量なのです。一緒に行った主人が「野菜の天ぷら」を食べたいと申しますし、お蕎麦の量を考えても、私が懐石を注文するには、多すぎます。結果、単品でオーダーできる、「二八蕎麦」と「野菜の天ぷら盛り」を注文しました。
麺:運ばれてきたのは、やはり、長い板に乗ったお蕎麦です。軽く盛られているように見えますが、容器が大きいので、かなりの量だと思います。まずは、蕎麦つゆを付けずに麺だけで頂きます。ツルツルとした喉越しがいいお蕎麦です。噛むと鼻からお蕎麦の香りが抜けてきます。お蕎麦の上品な味が楽しくて、つゆにつけるのがもったいなく感じました。「無量寿」に心を残していた私は、「無量寿」のことを忘れ去ることができました。
つゆ:次は、つゆにひたして頂きます。つゆには、白ネギ、ワサビとともに、自然薯が添えられています。「もし、つゆが濃く感じられる時は、自然薯を入れてお召し上がりください。つゆがまろやかになります」とのこと。
最初は、何も入れずに「つゆ」だけで。お醤油の刺すようなしょっぱさはありませんが、薄味党の私には、濃く感じられます。早速、自然薯を入れて、もう一口。!。お店の方がおっしゃる通り、まろやかになりました。お蕎麦に自然薯が絡まって、お蕎麦本来の食感を楽しめなくなるのは残念ですが、自然薯は大好きな食べもののひとつ。まろやかになったおつゆで、残りを一気に頂いてしまいました。
そば湯:最後にそば湯がサービスされます。自然薯でまろやかになったつゆに注いで、ゆっくりと頂きました。とても香り高いそば湯です。
全体の感想:市街地から離れた場所にあるこのお店。小国町にある蕎麦街道という街道の小国町側から入ると、一番奥にあります。「もう、こんなところにお店はないよ。どこかで道を間違ったのよ。少し戻ってみよう!」と会話をしたくなるような場所です。でも、それもここへ来る価値を増しているような気がします。全てが非日常間に溢れているのに、お蕎麦、(今回は、天ぷら)は、親しみのある味を、質のいい素材で作られている感があります。身体も心も満たされる場所です。
【写真の説明】
1) 駐車場から店舗に登っていくゆるやかな坂と母屋。向かって母屋の右手に離れが。母屋から離れには渡り廊下でつながっています。
2) 単品で注文した「二八そば」と「野菜の天ぷら盛り」。
3) 離れ。15時過ぎと遅い時間に伺ったので、お客様がなく、離れのお部屋も見せてもらいました。//
店名 | 戸無しの蕎麦屋 |
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電話番号 | 0967-42-1510 |
住所 | 熊本県阿蘇郡南小国町そば街道2842 |
アクセス | 熊本市内から、阿蘇内牧経由1時間30分 福岡市内から、植木I.C、山鹿、菊池温泉経由2時間 |
営業時間 | 11:00-16:00 |
定休日 | なし |
平均的な予算(昼) | \1,600 – \4,000 |
平均的な予算(夜) | \1,600 – \4,000 |
予約 | お席の予約可、お料理の予約不可 |
クレジットカード | 不可 |
個室 | 無 |
席数 | 50席 |
駐車場 | 有 |
禁煙 | 禁煙 |
アルコール | 有 (日本酒の品揃えも充実しています。) |
ホームページ | http://www.tonashinosobaya.info/ |