国道165号線の名張駅口交差点を室生方面へ向いて左折し、百合が丘団地を抜けたところ、青蓮寺湖の側、団地の外れに、ご夫婦で営まれている「そば.けいた」は、そっと佇んでいます。
庭にさりげなく植わっている草木、木の温もりを感じる外観、お店のまわり全体がふわぁ~とやわらかい温かさでつつまれているような、馴染みある安心感のようなものを感じました。それは、忙しなさの中でほっと一息ついたときにつつまれる気分と似ているように思えました。
若い女性客お2人と作業服姿の男性客お2人の2組がおられた店内は、清潔感に溢れており、窓が大きくとられているので、13席(テーブル席4卓)と小ぢんまりとしていながらも、大変開放感があります。季節柄、薪ストーブが焚かれていました。その炎のゆらめきをぼんやり眺めているだけで、穏やかな気持ちになれます。電動の石臼が店内の隅でさりげなく存在感を主張していなければ、こだわり焙煎の馥郁たる香り漂う珈琲が運ばれてきそうです。思わず、居心地の良いCaféに来たような錯覚を起こしてしまいます。やわらかな手書きのメニュー表から、私と妻は、単品の「揚げそばがきのあんかけ」と「てんぷら」を、おそばは「天そば」と「ざるの大盛り」をお願いしました。本日のおそばは、岡山県の蒜山産とのことです。
そば茶を頂きながら、温かなシャボン玉につつまれたような気分でまったりしていると、「揚げそばがきのあんかけ」が運ばれてきました。ガラスの器に薄くしかれた透明感のあるあんの上に、可愛らしく丸く整形された揚げそばがき3つ、それぞれの上にちょこんとブルーチーズが乗っかっていて、素揚げのかぼちゃが添えられています。見た目にも、とてもお洒落です。微粉で拵えられたと思われる揚げそばがきは、外側がややパリッとした大福のようで、なかはモチッとしています。やさしい味のあんには、ブルーチーズの塩気が良くあっています。時折ちらりと顔を覗かせるそばの風味とともに楽しみつつ、ハフハフしながら美味しく頂きました。
次に運ばれてきた「てんぷら」は海老1本と野菜が数種のお品です。ふわっとした衣を纏っていて、モフモフふんわりとしとやかな食感です。それぞれのてんだねが、愛らしくおめかしされて、寄り添いながら嬉し恥ずかしニコニコしているような印象を受けました。
程なくして、「天そば」と「ざる大盛り」が供されました。先程のあんと同様、綺麗に清んだ半透明のお出汁の中に、細切りのおそば、その上に海老1本と3種類の野菜が乗っています。時折ほわっと香る出汁とともにやさしい食感のおそばとてんぷらを頂きます。ほっこりとした気分になります。続いて、こんもりと盛られた「ざる大盛り」は、ほしはほぼみられず、微粉でツルっとした細切りの綺麗なおそばです。シコシコとした食感とスルッとした喉越しを楽しめます。口の中の体温で、フレーバーのようにさりげなく香るおそばは、まろやかな辛汁との相性もよく、あっという間に平らげてしまいました。最後にそば湯を頂きながら、二人とも何とも穏やかな気持ちになっていることに気付きました。
温かな雰囲気の中で頂く、やさしい味わいのお料理や、可愛らしくセンスの良い器、控え目でありながらも配慮の行きとどいた接客、さわやかなご夫婦の作り出す空気感に、全てが調和していて、非常に心地よい時間を過ごせました。訪れた人たちは、ゆったりと素敵な時間を過ごせて、帰りはほっこりと笑顔になれるような気がします。お店を出た後に振り返って、そっと両手を合わせたくなります。ごちそうさまでした...と。
今のままの雰囲気で、変わらず、長くあり続けて欲しいです。
【写真の説明】
看板、外観、メニュー表、揚げそばがきのあんかけ、天そば、ざる大盛り。
店名 | そば.けいた |
---|---|
電話番号 | 0595-61-1371 |
住所 | 三重県名張市青蓮寺1258-9 |
アクセス | 近鉄名張駅より車で約10分 |
営業時間 | 平日 11:30~14:30 土日祝 11:30~14:30 17:30~19:30 |
定休日 | 水曜日 |
平均的な予算(昼) | 1000~2000円 |
平均的な予算(夜) | |
予約 | 予約不可 |
クレジットカード | 不可 |
個室 | 無 |
席数 | 13席 |
駐車場 | 有 (4台) |
禁煙 | 禁煙 |
アルコール | 有 (日本酒 ビール 焼酎) |
ホームページ | 無 |