美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

　若林区の六丁の目には、有名店が3軒ある。その一軒が、「二八そば処　蕉風（しょうふう）」である。「二八そば処」と銘打っている程のこだわりのある二八そばを食したいと訪れてみた。

　喧騒な産業道路から路地に入ると、趣のある木造の建屋と幟がすぐに目に付く。玄関口には、標石もあり旅籠のような雰囲気を醸し出している。白い暖簾に「蕉風」の黒い文字が、くっきりとしていて、清潔感があり期待が膨らむ。

　玄関で靴を脱ぎ、大広間の座敷に入ると、大きな座卓が並ぶ。和紙の笠を通して柔らかな照明が、また気持ちをリラックスさせてくれる。のんびりとくつろげる空間の演出が、心地よい。

　逸品という「おろしそば」や、冬季限定の「生かきそば」など、目移りしてしまったが、そばとつけ汁をしっかり味わいたかったので「冷しとろろそば」を注文。

　「石臼粗挽きの山形産そば粉と、石臼細挽きの北海道産そば粉とをブレンドした二八のそばは、のど越しも弾力も絶妙である。新そばの香りも鼻腔をくすぐる。小鉢に入ったとろろが、泡のようにふわっとしているものの、箸をつけるとまとめて挟めるような弾力にびっくり。そばもつけ汁も料理も丁寧な仕事である。

　そば打ちは、ご主人の担当。つけ汁は、娘さんの担当。お店の切り盛りは、女将さんの担当と家族で営むお店である。長年贔屓にしている常連さんが多いのもうなずける。今度は、冬季限定の生かきそばを食してみよう。