美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

　宮城県柴田郡村田町の東部にあたる姥ヶ懐地区は、民話のふる里として知られています。観光施設「民話の里」があり、以前ここでそば打ちをしていたご主人が、定年後の平成１６年９月に自宅で千寿庵を始めました。
 店構えには、お金をかけず、ちょっと古びていて何か懐かしいふる里に帰ってきたような店にしたいというご主人の思いが伝わってきます。飾り気のない農家でゆったりとした時間の流れに身を置き、そばを手繰ることのできるお店です。

　子どものころにおばあさんが作ってくれた「そばねっけ」の味を再現しようと工夫を重ね現在のそばに至ったとのことです。
　そば粉は、「たまゆらそば」という地元村田産の玄そばを自家製粉して使用しています。殻ごと挽きぐるみにして甘皮を香りづけに入れ、水は千咾不動尊の湧水を使って打っています。メインは、つなぎの入ったそば千寿ですが、つなぎの率は、不明です。その他、外１そば、十割そば（太麺）があります。
　「たまゆらそば」は、生産組合を作り村田産そば粉として売り出していて、新そば祭りの開催など、最近力を入れて普及に努力しています。

　今回は、そば千寿を注文。透明感のある麺は、もっちりとして弾力のある食感が素晴らしい。星も多く、香りも高く、のど越しも良い美味しいそばでした。甘さ控えめで薄味の切り干し大根の煮物が、箸休めに付いてきます。そばに加え田舎の味を演出してくれます。いつも混雑している人気店である理由が分かりました。