美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

　森の中にひっそりと建つ古民家風の一軒家で、中は天井が高く明るい窓からは木立が眺められ、ゆったりとした極楽気分でおいしい蕎麦と酒と料理が楽しめます。

　　以前は飯田市内の有名店でしたが、本当の蕎麦を栽培から手掛けたいとわざわざ田舎に引っ越しされたようで、私たち夫婦は、毎年夏信州へ旅する途中で立ち寄るのを楽しみにしているお店です。

　　「しらびそ」という希少種を10割で細打ちした蕎麦(1050円)が売りで、鰹節の風味が良く効いた少量の辛めのおつゆで頂きますが、適度のこしと喉ごしの良さが備わりおいしく味わえます。

　　このほかもう一種類、「朝日屋」と名付けた中太打ちの二八蕎麦(945円)がありますが、これが侮れません。こちらは、塩味の勝った薄口の辛汁をちょいづけで味わいますが、口中に蕎麦のうまみが押し寄せる感じで、駒ケ根産の玄蕎麦に各地のそばをブレンドしたとのことですが店主のこだわりが感じられます。

　　この辛汁は、おろしそばのかけ汁にも用いられますが、辛味大根・蕎麦を通って下に溜まった汁も、だしの風味を失わず程よい塩加減になっていて大変おいしいです。

　　「蕎麦がき」（1200円）とその上に少量のせられた辛味大根と削りたての鰹節とのハーモニー、「夏野菜のあげびたし」(900円)の色鮮やかさと蕎麦つゆの程よい絡まり具合など店主の繊細な感覚が感じ取られます。

　　器もそれぞれ素朴な中に個性的です。