美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

信州松本の蕎麦屋を語る上でこの店は外せない。水車の回る店としても有名な「石挽そば処　小沢そば」のレポートです。

入り口横の水車と古い石臼を見ながら店内に入ると右側に畳みの座敷テーブルが並び、左側にカウンター席と椅子席が並んだ古民家風の店内です。

初めに「ざるそば」を注文すると、海苔がのったせいろが2段重ねで登場。ほんのり蕎麦の香りが漂って来る。なにもつけずに麺だけを数本箸につまみ口に運ぶ、口の中の神経を全て集中させゆっくりと数回噛み締めて呑み込み胃袋に流し込んでみた。口から鼻に香りが抜けて改めてそばの美味しさを感じました。麺は中太よりやや細く、色も黒過ぎず白過ぎずでちょうど良い色合い。つゆも鰹出汁が効いていて老舗のそば屋の名に相応しい味でした。

続いて「かけそば」を注文。運ばれて来たとたんに鰹出汁のいい香りが、もりそばを食べた後にもかかわらず食欲を掻き立ててきました。まずはつゆを、両手でどんぶりを持ち上げそっとつゆを飲み込むと、湯気が鼻先をくすぐりながら鰹出汁がのどに染み渡り胃も心も美味しさに満たされます。そばは温かい汁を身にまといふっくらとしていてとてもやさしい美味しさでした。

仕上げにそば湯を頂きました。濃過ぎず薄過ぎずで茹湯をそのまま湯桶に入れたもの、お茶の替わりに何杯も飲みたくなります。

店に併設の製粉工場との出入口に近いカウンター席に居た私は、店員さんがその戸を開け閉めするたびに、製粉所から来るそば粉のやや芳ばしい香りがより美味しさを引き立ていました。