美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

　五街道の一つ、様々な歴史に顔を出す中山道沿いに位置する奈良井宿。歴史の香りを感じる街並みを求め奈良井駅を出ると すぐ目に入ってくるのがこのお店「楽々亭」です。普通の入口もいいですが、横に回ると実はもう一つ入口が。 建物の歳月を感じる背の低~い入口は入ってくれと言わんばかり。どうせなら...とそちらから入店しました。
　店内は思ったより解放感があり座敷には画になる囲炉裏。テーブルも何席かありますが私は座敷に陣を構え さぁ蕎麦を注文するぞと壁に貼られているメニューとにらめっこ。特産物や季節物メニューがあり、値段も優しく、とても魅力的です。旅先ではもちろん蕎麦も食べたいですが、やはり名物や特産物も食べたいものです。観光者向けの派手な盛付けや少しお高い価格帯のお店でがっかりする時もありますが、ここは正解。

地元の人も好んで通うんだろうなと思えるいいメニュー。馬刺し、鴨なんば、トロロ、丼... 誘惑に負けそうになりながらも私達が注文したメニューは
・もり蕎麦...800円
・すんき蕎麦...950円
・舞茸天ぷら...500円
・漬物盛り合わせ
・七笑(木曽の地酒)
　まず私の興味は大好きなすんき漬けへ。蕎麦好きなら一度は聞いたことがあると思うすんき漬。すんきとは赤かぶの葉の漬物なのですが、塩を一切使わず乳酸を醗酵させている為、シンプルで独特な酸味があっていいおつまみになります。体にもよく乳酸菌の量はヨーグルトにも負けないレベル。そんなすんき漬けを交えた自家製の漬物盛り合わせは最高の一言。お気に入りになりました。そりゃお酒も進みます。

　ほどなくして運ばれてきた舞茸の天ぷらともりそば。時期的に旬な美味しい舞茸をサクサクの衣で...いい感じ。サクサク感がかなりタイプです。もりそばにも箸をつけます。なるほど...コシはそこまでないですが存在感はしっかり。口に入れてすぐに感じたのは水！硬水を使ったなと感じます。奈良井宿は湧水が飲める水場がいくつもあり美味しい水が飲めます。
その水を生かした蕎麦というのが口に入れてすぐに分かりました。つゆも丁度いい味です。ペロッと美味しく頂きました。

　そして最後はお待ちかねのすんき蕎麦！先ほど熱弁したすんき漬けを温かい蕎麦に投入したものです。その独特の酸味が癖になり口が次の箸まで待てない！なんとも言えないバランスです。何かの番組で、木曽の人はすんき蕎麦が一番好きな食事と言っているのを見た事ありましたが、なるほどと思えます。木曽のソウルフードお見事でした。

　年間通して出来る限りベストコンディションのそば粉で提供したいという心意気も素敵なお店楽々亭。電車の本数が少ないので奈良井宿には車で行く人も多いと思いますが、電車の待ち時間に散歩の疲れを癒しに駅近のすんき蕎麦で温まる。たまにはフラッと電車で奈良井宿へ...いいと思いますよ。