美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

　久々の二泊三日の温泉三昧旅行の中日の昼に、飯田の陸ヱ門さんに伺いました。出入りの業者の紹介です。
　果樹園の間を山側に入っていくと、いかにも蕎麦屋さんという感じのこぢんまりした古民家風の建物が、ポツンと右側に現れます。建物の前、道路側が駐車場になっています。履物を脱いで上がり、引き戸を開けると右手に四人掛けテーブル席が四台、さらにその右側が座敷になっています。
　当日は晴れで、三面ガラス窓になっているため店内は大変明るいです。そして窓のはるか向こうに、雪をかぶり真っ白にそびえる南アルプスの連山がくっきりと見えます。素晴らしい景色です。いちにち眺めていても飽きないのではないでしょうか。

　さて蕎麦です。冷たい九割細打ちのざる９００円、天ざる１４００円、十割太打ちのいなか９００円、天いなか１４００円、雪見ざる１３００円、ぶっかけおろし１３００円、鴨ざる１４００円、温かいかけ１０００円、きのこそば１２００円、鴨南蛮１６００円等、温かいのも冷たいのもあります。それに加えて、焼き味噌４００円、玉子焼き７００円、天ぷら盛り合わせ７００円、そばがき９００円と、メニューはオーソドックスながらバラエティーに富んでいます。

　旅館で夕食があるので、いろいろ頼みたいのを我慢して、家内と二人で、玉子焼き、細打ちざる、十割太打ちいなかを注文です。玉子焼きは４個？を使用、程良い甘さで上品な味付けです。

　細打ちざるが来ます。細くて繊細な蕎麦です。色は淡い緑。少しホシが飛んでいます。食感とのど越しは良いです。細打ちだと水切れが悪いので、どうしてもクチュっと固まってしまう感じですね。それと、この時期はお客様が少ないので、小さい玉を打っているから蕎麦が短くなってしまいます。小さい玉でも長くなるような工夫が必要ですね。

　最後に十割太打ちいなかです。いなかというのでひきぐるみの黒い蕎麦を想像していましたが、出てきたのは、細打ちよりももう少しホシが飛んでいる、淡い緑色で幅１ｃｍくらいのきしめんのような蕎麦です。これもつるりとしたのど越しで、おいしくいただきます。

　食べ終わった後、ご主人とお話ししたいと、初めにご挨拶していたのですが、出て来られず、結局お話しできずに帰ります。

　素晴らしいロケーションと、上品で繊細な蕎麦のお店です。ごちそうさまです。