美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

今回お邪魔させていただいたのは、奈良で一番有名なお蕎麦屋さん『玄』さんです。お店は奈良町に在ります。奈良町とは、興福寺、猿沢池の南側の古い街並みが残った一帯の所です。その中にある十輪院と造り酒屋今西家清兵衛さんに挟まれる様に路地と路地の角にひっそりと佇ずんでいます。僕自身は、２０年程前にお伺いして以来何度か寄せてもらっていますが、少しも変わらず美味しいお蕎麦を提供され続けています。

お店は、今西家清兵衛さんの離れだった一軒家を改装して使用されています。

引き戸を開けて中に入ると、すぐに店員さんが出てこられ、座敷へと案内されます。ニ間続きの部屋に長い座卓が、３列に並べられています。ＢＧＭはなく、静かな時間が流れています。

田舎蕎麦と、せいろ蕎麦を注文しました。ほどなく、田舎蕎麦が運ばれてきました。朱色のお盆に、田舎蕎麦が入ったざる、小ぶりの蕎麦猪口、薬味には紫かがった辛味大根がついてきました。田舎蕎麦は、かなりの細切りで切り揃えも完璧です。こしも、しっかりあり一口すすると蕎麦の香りが

ひろがります。つゆは、鰹のだしが良くきいた辛口のすっきりとしたつゆでお蕎麦との相性は抜群です。続けて、せいろ蕎麦です。四角いせいろに白いお蕎麦が盛られて出てきました。薬味は、山葵に替わります。先ほどの、田舎蕎麦に比べるとすっきりとした上品な味わいです。こちらも素晴らしい切り揃えです。最後の蕎麦湯は、とろみのついたポタージュタイプです。

お店の雰囲気、お蕎麦の味、接客すべてにおいて大満足の『玄』さんでした。この日の、お蕎麦は福井と北海道と奈良のブレンドだそうです。