大阪難波のこめじるしにある芦生(以前は河内長野市にあったそうです)は、少し人ゴミを離れて落ち着きたい時や、体が蕎麦を欲しているなと思った時に安心して食べに行けるお店です。
都会過ぎず、田舎過ぎず、とても使いやすく夜も23:00までやっているのが嬉しい♪(少し早く閉めている時もあります)
蕎麦切りだけではなく少し飲みたい時には、蕎麦がき、蕎麦がきコロッケ、蕎麦がき揚げ、揚げそばサラダ、焼き味噌など、蕎麦好きにはたまらない様々な一品料理もあるので、飲むのが好きな私は、お酒を入れてから蕎麦で仕上げ・・・のような楽しみ方もしています。
いつも幸せな時間を頂いているお店です。
さて、今回の食味体験は以前からずっと頼んでみたかった【蕎麦ざんまいセット】についてです。
製麺室を横目に店内に入ると照明は少し明るめで清潔感のある感じ。
ホールスタッフも気さくで楽しいのは大阪だからなのか、味に笑顔がトッピングされるような錯覚もありとってもアットホームです。
楽しい気分で蕎麦に向かえます。
早速注文・・・待ちながらメニューを眺めつつ待つ時間が楽しい♪
いったいどんな蕎麦ざんまいだろうとツバを飲みます。
と、素早く出てきた一品目は【そばがゆ】です。
和の繊細さを感じさせる上品な出汁で蕎麦の実をおかゆにしており、口に入れると皮の剥かれた玄そばがしっかりと出汁を吸っていて舌の上に蕎麦の風味と出汁が混ざり合ってなんともいえないマリアージュ。
米と比べると実の硬さが楽しく、なんとも歯応えが気持ちいい。そして優しい・・・いい出汁ものを食べた時、日本人でよかったと本当に思います。
そこへタイミングよくやってきたのは【もり蕎麦】。
香りをクンクン・・・香りの主張はあまりないですが、挽きたてのような新鮮な感じが漂ってきます。
たまんない。さぁ食べるぞと気合も入ります。
色は白に少しだけ茶色を混ぜたような感じで、白の強さと麺の太さから、喉ごし重視で蕎麦の味をほどよく出してアクセントをつけるバランスを狙ったタイプだと想像できます。まずはもちろん蕎麦だけを口に。
普通の店では細切りの場合、二八が好みの私ですが、芦生さんは全て十割と拘っており、しっかりとした風味と喉越しを感じられるので何もつけなくても蕎麦が進みます。十割なので二八と比べると少しボソボソしますがうまく工夫されておりツルツルと食べれて嬉しい。
工夫分少し香りは弱いですが、噛めば風味がしっかりと広がり好きなタイプの蕎麦です。
そして次は、蕎麦を荒めの塩につけて口に・・・香りが一気に引き立ちます。
どの店でも塩は少量だけつけないと塩の味が強くなってしまうので、そのバランス加減で遊ぶのが楽しくて顔が緩みますよね。
お酒で口をリセットし最後はつゆで。
つゆはカツオがきいていて椎茸のような風味もあり、とてもしっかりとした出汁を使った甘みのあるつゆです。
でしゃばらず尖らず、醤油の塩分が丸い感じで、生がえしでしょうか。
聞いて見るとこぶも使っており、トリプル出汁でかえしを整えているようです。
つゆに絡めて食べるとまた風味が合わさって、箸が止まりません。
私はここの蕎麦は塩で食べるのが気に入っているので、つゆ、塩と交互に。コースなので量も調整されており程よい満足感で完食。
こういう食べ方が出来る蕎麦のコースってやっぱり楽しいなぁと実感。
蕎麦好きな人は蕎麦は別腹といいますが、そんな人にはこういうバラエティにとんだ蕎麦のコースっていうのは嬉しいと思います。
ここから食欲が加速します。
次は【そばがき】をわさび醤油にて。
ここにきて蕎麦独特の癖のある香りを一気に開放。
癖をわさびで調和し、醤油で味にアクセント、餅のようにつるりと食べれるそばがきです。そばがき自体の味はとってもシンプルで、素材を食べてねと言われている感じ。生姜味噌なんかもつけてみたらあうかな?
なんて妄想しつつ口の中も盛り上がってきたのが分かります。
これを食べた後の口には、味の薄いものは合わないなぁと思っていると、ここで〆の【田舎そば】が登場です。なるほど計算されています。
おおぉぉぉと心の中がざわつきます。
実は私はこの店ではこの荒挽きの【田舎そば】が一番好きです。
もともと香りが強く深い味が好みなので、粗挽きは楽しくて仕方ありません。
見て楽しい少し太めで星がふんだんに盛り込まれた粗挽きそば。
もり蕎麦と比べると茶色がしっかりしていて皮に近い部分を使っているのがよく分かります。何より素晴らしいのがこの店の粗挽きに対する姿勢で、どの店も管理の難しい粗挽き蕎麦は少量しか仕込まず、品切れ必須なイメージが強いのですが、私はこの店で品切れと言われた事がありません。
時間が経つとぼそぼそ切れやすくなる十割の粗挽きを、いつでも出そうと思うと、きっと営業中にも仕込み直ししている?
なんて想像を膨らませているとこの十割と粗挽きへの取り組み姿勢に本当に脱帽するなと感謝が止まりません。
(喉越し好みの人にはこのあたりを考慮して食べて頂くとまた感想が変わると思います)
さて感謝しながらも、もちろんまずは蕎麦だけを口に含みます。
太く少し短かめな蕎麦は、しっかりとした噛みごたえ。
口の中いっぱいに弾力と共にしっかりした香りが広がって・・・美味しい。
まさに〆にふさわしい満足感を感じるボリューム感のある蕎麦。
量は少し少なめなのであっという間に完食でした。
同じ蕎麦なのになんでこんなに味が違うんだろぅと、蕎麦の深さをかみ締めながら蕎麦湯でつゆも飲み干しコースも終わり。
今回はお腹いっぱいで食べれませんでしたが、この店には他にも全国でもあまりお目にかかれない寒ざらしそばがあります。
アクが抜けて、上品な甘みを感じる貴族感を思わせる蕎麦です。
蕎麦臭いのが好きな人には物足りなく感じるかもしれませんが、上品と思って食べればその甘みを感じる事が出来、蕎麦愛がある人には一度は試して欲しい蕎麦です。蕎麦米ごはんなんて面白いごはんもあり、米も自分で挽いているようで丸剥きの玄そばのアクをとる為に、とても手間暇をかけた健康的で素晴らしいご飯です。自家製のぬか漬けもついてきて興味が尽きません。味の好みは人それぞれ、いつでも賛否両論な世界ですが、私は工夫いっぱいの蕎麦愛を感じるこういう店は大事にしていきたいなと思います。
店名 | 寒ざらしそば 芦生 |
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電話番号 | 06-6644-2751 |
住所 | 大阪府大阪市浪速区難波中2-10-25 なんばCITY 南館1F なんばこめじる |
アクセス | 難波駅 徒歩5分 |
営業時間 | 昼11:00~15:00(土日祝11:00~23:00)夜17:00~23:00 |
定休日 | 無休 |
平均的な予算(昼) | 1500円 |
平均的な予算(夜) | 1500円 |
予約 | 可 |
クレジットカード | 可 |
個室 | 無 |
席数 | 24席 |
駐車場 | 有 |
禁煙 | 分煙 |
アルコール | 有 |
ホームページ | http://asiu.info/index.html |