美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

多くの飲食店が日々賑わっている大阪の東心斎橋。

騒々しい人ゴミを抜けて細い階段を降りると、そこには特別落ち着く別世界「そば居酒屋 るちん」があります。こんな賑やかな場所の地下で蕎麦？   

と思える程の立地ですが、蕎麦居酒屋というにはもったいない雰囲気で敷居が高いわけでもなく気軽に入れるのに、中にいると高級店にいるかのような上質な気分が味わえます。かと言って緊張するわけでもなく落ち着いた雰囲気の中でしっとりと食べる蕎麦はお洒落蕎麦の一言。

東心斎橋に位置するだけあり、深夜2時まで営業しているのも嬉しく、お酒を飲んだあとに〆蕎麦が出来るのも嬉しいお店です。

 

メニューとしてはどれも面白く、玄蕎麦(丸抜き)をちりばめた料理も多数。

他の店では食べる事の出来ないような、美味しくて変り種の一品には感動。

サラダやチーズクラッカー等に丸抜きをふりかけのようにかけてくける盛り付けは、蕎麦好きなら「おっ」と思うはずです。

聞くと店主は割烹出身で蕎麦が好き過ぎて転身したとの事です。

なるほど割烹...一品料理がいちいち美味しいのもうなずけます。

そして、数多いメニューの中でもひときわ存在感があるのが蕎麦寿司です。

蕎麦寿司自体は最近食べられる店が増えてきましたが、この店のスタイルは他では見ないスタイル。

得意の和で培った魚選びとその場でさばく新鮮なお造り。

そのお造りを主としバランスよく野菜等と巻いたポップな蕎麦寿司は、一度食べたらやみつきに。種類も豊富で、トロたくわん巻きや長芋うめしそ巻き、納豆巻きや海老天巻き等々、つい沢山食べたくなってしまいます。

蕎麦稲荷もオススメしたい。

蕎麦と紅生姜と丸抜きのバランスもお見事で甘さが絶妙ですよ。

 

さて寿司のシャリ代わりにも使われているメインの蕎麦についてですが、北海道産の蕎麦粉を使用しているらしく、大きな特徴があるわけではないのですが、居酒屋という事で料理にバランスよく合う喉越しのいい二八蕎麦を作られています。

山芋を繋ぎに使っているそうで主張こそないものの、ご飯のように食べ合わせが出来る蕎麦は、毎日の主役となりうる存在かもしれません。

 

居酒屋と言ってはいますが、蕎麦自体のメニューもしっかりしており蕎麦単体だけ食べて帰ってももちろん満足できます。

何より自分の店の蕎麦の特徴をよく知っているので、薬味やつゆも蕎麦との愛称が抜群に感じました。

ざる蕎麦についてくるこだわりの「水塩」は、水、塩、卵白、卵の殻を使って仕込んでいる澄んだ雑味の無い液体のお塩だそうで、少しだけ蕎麦をつけて口に含むと塩分が口で広がり蕎麦が化けます。メニューもよく冒険されていて、運がよければ面白い蕎麦に出会えるかも？しれません。

 

店の名前同様、るちんの効能を店頭に掲げ、そばの可能性を引き出し、より多くの人に、知って食べて貰う事に挑戦しているように思えるこのお店は、特に蕎麦を意識していなかった人が「あれ？蕎麦って楽しい」って初めて思いうる店になれるかも？と私は思いました。

蕎麦自身の個性よりも料理とのマリアージュで味わう蕎麦。

蕎麦上級者には蕎麦だけで言えば少し物足りなく感じる人もいるかもしれませんが、是非バランスを楽しんで欲しいと思うお店です。

いろんな人がこの店で蕎麦に興味を持つ、そんな窓口となって頂きたい「そば居酒屋 るちん」を私は応援したいと思っています。