昨日の朝、市内のとある裏道を走っておりますと一軒のお蕎麦屋さんから明かりが洩れております。時間はまだ朝が明け切らない6時位でした。大きなガラスの窓の向こうに黙々と蕎麦を打つ男性の姿が。今まで表通りの看板だけは目にしておりましたが、これこそ灯台下暗しでした。
さっそくその翌日に出掛けました。店内に入りますと、かなりこぢんまりとした様子。カウンター4席、小上がりに6人掛けの座卓が二つ。こだわりの店内の雰囲気。話しを伺うと16年前に本業の傍ら、蕎麦好きが高じて敷地内に蕎麦屋を出したそうで、思わずハタッと膝を叩きたくなりました。
おしながきには、温かい蕎麦は見当たらず、勧められるまま合いもり二色そば(1200円)を注文。普段は娘さんが天ぷらを揚げているそうですが、日曜日の今日はお休みだそうで、本日は三人共同じものを頂きます。
蕎麦の出来上がりを待つ合間に、店主の蕎麦への思いを書いた説明書きがあり一読。その中で薬味は、つゆには溶かず、麺にも付けず、口直しに味わって欲しいとの記述が。様々なんだなぁと改めて思った次第です。
さて、合いもりがやってまいりました。幌加内産のソバを自家製粉した挽きぐるみの二八と、喉越しを追求した幅広のそれは、なんと八二だとか。きしめんにソバの星が入ったものと形容すれば良い感じです。
まずは細打ちの二八からひと摑み。自分なりの基準から照らすと、ごく標準の太さに打たれております。まさに、挽きぐるみ。滑らかさは二の次にし、蕎麦らしい風味を此処まで分かり易く表現するのもありなのかと。昨日食べた、他の店の九一の田舎蕎麦と、比率が逆転している感じです。
その濃い色をした麺をくぐらせるつゆは、全体的に辛味、甘味、出汁感共に分厚い感じ。コクが深いのとはチョット違い、全体の真ん中が盛り上がる感じです。
さて、合いもりの幅広麺は、確かに喉越しを楽しむには、良く良く出来たものでした。二八との対比も存分に味わえる仕上がりでした。北関東に根付くうどん文化。そんな事情から県西部では、蕎麦とうどん両方を提供する店が少なくなく、こちらでも両方が食せます。この幅広麺は、そんな環境の中での自由な発想から生まれた、この店の個性なのかなと。
こちらの店の最寄り駅は、昭和天皇が戦時中に行幸された歴史ある駅で、面する通りは、江戸時代の旧日光街道(正しくは千人同心街道)で、かの清水の次郎長も歩いた街道であり、さらには、西に数百メートルの所には鎌倉街道上道が当時の面影を残し、同時代の女影古戦場跡など歴史溢れる場所に在ります。蕎麦好きな歴史ファンにはこたえられないシチュエーションのお店に足を運んでみては如何でしょうか。
小さなお店ながら、次から次へと来店があり中々の繁盛ぶり。この店もまた、蕎麦好きの人々が集う場所なのだなと思いながら後にしました。
浅き春を、付け合わせのウドが告げているような時間を過ごせました。
店名 | 手打・そば六(日高市) |
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電話番号 | 042-989-7977 |
住所 | 埼玉県日高市高萩658-1 |
アクセス | 武蔵高萩駅より徒歩7分 |
営業時間 | 11:00~なくなり次第終了 夜は予約制 |
定休日 | 毎週水曜日・木曜日 |
平均的な予算(昼) | ¥1,200~ |
平均的な予算(夜) | |
予約 | 有り |
クレジットカード | 不可 |
個室 | 無し |
席数 | 16席 |
駐車場 | 有り |
禁煙 | 禁煙 |
アルコール | 有り |
ホームページ | 無し |