東京から群馬へ車で日帰り旅行の途中、お昼に蕎麦が食べたいと思い、寄り道してうかがいました。13:00過ぎに到着。満席でしたがちょうど先客が3組帰るところで、待ち時間5分ほどで席へ案内されました。
無垢材のテーブルをはじめ、木がふんだんに使われた店内は、一見天井の高い平屋のように見えますが、奥に中2階や半地下がある面白い造りで、まるで山の中の秘密基地に来たような気分になります。また、天気のよいお昼どきは照明をつけないようで、大きな窓から入る自然光のなか、静かに流れるジャズがゆったりと心地よい空間を演出しています。厨房と客席を行ったり来たりする男性がご主人。調理も配膳もお1人でやっていらっしゃいました。
お品書きは冊子のほかに、フロアに置かれた黒板にも、その日使用している蕎麦粉の内容や一品料理などがびっしりと書き出してあります。品書きによると、こちらのお店では「北海道・新潟・長野のそば粉を直送しその日分をその日に手打ちしております」とのこと。蕎麦粉の産地の違う3種類の蕎麦を提供されていました。せっかくなので3種類を食べ比べたいと思いましたが、残念ながらこの日は新潟産が終わってしまったというので、北海道(佐呂間)産と長野(安曇野)産の「合いもり」と、野菜天ぷら盛り合わせのハーフサイズをお願いしました。
厨房から油の香ばしい匂いとともに、天ぷらを揚げるパチパチという音が聴こえてきます。程なくして、まずは野菜天ぷらの盛り合わせが来ました。茄子、オクラ、人参、玉葱、さつまいも、南瓜のラインアップを、塩でいただきます。野菜はオクラ以外すべて自家栽培とのこと。ご主人の自信作だという人参は、ぎゅっと味が濃縮されて、ほくほくとした食感が、衝撃的なおいしさでした。
野菜に感動していたところで、蕎麦が来ました。うっすら黄みがかった色合いの細切りが、北海道産の「二八そば」。ピンク色がかった太切りが、長野県産の強粗挽の「田舎そば」です。注目すべきは「田舎そば」の太さ。ウェーブがかった麺は1cm近い、きしめん程の太さがあります。ご主人曰く、「蕎麦の香りをしっかり感じてほしいと思って打っていたら、どんどん太くなってしまった」とのこと。以前はもっと太かったそうですが、さすがに食べにくいとお客さんに言われて、今の太さに落ち着いたそうです。勢いよくすすることはできないので、少しずつたぐっていただきます。噛みごたえがあり、むちむちとした食感。噛むたびに、蕎麦の甘みが舌の上に広がります。一方の「二八そば」は、さらりとしたテクスチャーの細麺。すすった瞬間、上品な蕎麦の香りがクゥッと鼻を抜けます。つゆは濃い目のやや辛口。鰹だしが丸みをあたえて、どちらかといえば「田舎そば」との相性のほうがよかったように感じました。当たり前のことですが、使用する蕎麦粉や打ち方の違いで、食感・香りの全く異なる個性を持った蕎麦ができることを、あらためて学ぶことができました。
お店の空間から蕎麦まで、ご主人のこだわりが随所に感じられる大人の「秘密基地」。車でないとなかなか行きづらいところにありますが、また訪れたいと思うお店が一つ増えました。
店名 | 庵 菊水(本庄市) |
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電話番号 | 0495-24-2708 |
住所 | 埼玉県本庄市西五十子325-5 |
アクセス | 本庄市バス 南循環東コース 五十子踏切北 徒歩2分 |
営業時間 | 11:30~14:30/18:00~21:00 |
定休日 | 月曜日、第2日曜日 |
平均的な予算(昼) | 1,000円~2,000円 |
平均的な予算(夜) | |
予約 | 可能 |
クレジットカード | |
個室 | 半個室あり |
席数 | 26席 |
駐車場 | あり |
禁煙 | 禁煙 |
アルコール | あり |
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