美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

　懐かしい香り漂うお蕎麦屋さんに寄ってみた。時刻は13：00。

　ご夫婦で切り盛りしており、お客さんのはほとんどが常連さんのようだ。

　６人ほどが店を出たところだが、店内には若い男性客２人組が注文したものを待っていた。

　私は写真付きの品書きから、三昧そばを注文した。品書きのそばの部には「国内産のそばを石臼引きした」と説明があり、「大変美味しいおそばです」とも書いてある。

　ついつい期待をしてしまう。

　注文したものが出てくるのを待っていると、先客二方の分が給仕されて来た。一人はかつ重セット、一人は親子丼セット、いずれにもおそばが付いている。そばは温かいもの、冷たいものが選べる様だ。

　今の私には食べられる量ではない。流石若者と感激する。きっとそば屋の出しが良いので丼物も美味しく人気があるのだろう。

　三昧そばが運ばれて来た。三つの朱塗りを模した小ぶりの器にそばが盛られ、それぞれに刻み海苔、山菜、天かすが載せられている。

　一度に三度美味しいというお得感のあるそばである。

　まずそば汁の味を聞く。醤油が立った若干しょっぱさが勝つ藪系とも言える汁である。

　次にそばを見る。黒からず、白からず、平均的な色合いで、角が取れ、太さはどれ一つとも間違えなくそろっている。茹でる時に茹でむらが起こらない理想的な容姿を持っている。

 　二本を箸に取りそのまま口へ運ぶ。二八だろうか三七だろうか私には判断つかないが、そばの弾力が心地よい。

　ざる、山菜、たぬきと、飽きることなく完食。

　日本の街角の何処にでもあり、我々の食にそばをまじかにするきっかけを作っているようなおそば屋さんであった。

　このようなおそば屋さんが若者にそばの美味しさを伝えているのだろう。

　まじめなおそばを出す、応援したくなるちょっと小粋なお店でした。

　おっと、また常連さんが一人やって来た・・・