今日は雨模様。車を駐車場へ入れると急いで店へ入る。何とも渋く味のある旧家だ。濃い臙脂色の作務衣を着た仲居さんが迎えてくれる。仕切りがなく4人で一杯になる小部屋に通される。そこには幾つかの焼き物が飾られていた。
ひとしきりその焼き物を拝見して座った時、BGMにJAZZが流れていることに気がつく。落ち着いた空間だ。遠くに見える庭の風情、雨がその景色を極上の物に仕上げている。
メニューには蕎麦は勿論、つまみの類い、飲み物、デザート等の名前が豊富に並んでいる。仲居さんにお薦めを聞くと、「今は新そばで十割蕎麦と新潟県直送の舞茸天ぷらがよく出る」という。十割そば、しかも新そばと聞けば文句などの出ようもない。
そば粉は北海道秩父別産のものだと言う。秩父別とは旭川と留萌の間にある地。若かりし頃ツーリングしたことを思いだす。その地から来た粉であるということは感慨深い。思い出を胸にデザートも頼む。揚げ蕎麦がき団子。連れは温かい天ぷらそばと蕎麦プリンに心を決めたようだ。
連れとは、我が娘で高二。幼いころから食べていたので、そばにはうるさい。(特に私の打つそばにはうるさい・・・)もりそばにこだわらない柔軟さを備えている。今日は寒い。うらやましい限りだ。
まず、そば膳が運ばれて来る。汁を確かめる。しっかりした味を持つが柔らかく後に残らないすっきりさが有る。しょっぱいわけではない。醤油はこの地で有名な金笛醤油のものを使っているという。地元の人も安心して食せる味わいになっているのだろう。
舞茸天ぷらには天つゆと抹茶塩が添えられている。一口、抹茶塩を付けて口に運ぶ。サクッと食むと舞茸の風味が口いっぱいに広がり幸せな気持ちになる。
十割蕎麦が来た。見た目が期待と違う。十割蕎麦と言えばか弱く今にも切れそうな繊細な物をイメージするのだが、ここの十割蕎麦は太めで色が黒く湾曲具合が力強く一本一本がしっかりとした田舎そばの風体をなしている。写真を見て頂こう。皆さんの感想は如何だろう?
二本を箸に取りそのまま口に運ぶ、もっちりとしていて歯ごたえがしっかりしている。ほろりと解ける感じはない。十割で存在をこれだけ主張する麺はどうしたら打てるのだろうか?これが古式手打ちの秘技なのだろうか・・・しっかりと味わいながら完食する。一人前130g程だろうが、十分なボリュームであった。
そば湯を頂き一息入れているとデザート、揚げ蕎麦がき団子が運ばれてくる。そば粉をそばがきを作る湯の量より少ない湯で溶かし丸め揚げた団子に黒蜜がかけられている。湯の量が多いと歯にくっつきやすくなり、少ないと口当たりが悪くなるだろう。加減が丁度良い。黒蜜との相性も良くほうじ茶を飲みながら流れるJAZZに耳を傾け、昔走った秩父別当たりの景色を思いだし、焼き物や雨に濡れた庭を愛でていると、現実とは違う空間に居るようだ。
中居さんに「古式手打ちとはいかなる技術か?」と尋ねたが、「普通のそば打ち技術だが、修行先の師匠がそのように名乗っていたので引き継いでいる」との事であった。私としては十割そばの打ち方に影響していると深く信じたい。でなければ面白くないではないか・・・
店名 | 古式手討ち蕎麦 |
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電話番号 | 049?290-2890 |
住所 | 埼玉県比企郡川島町伊草868 |
アクセス | 車:川越方面から国道254を東松山方面へ進み、落合橋を渡り切ったらすぐ左折 バス:川越駅または本川越駅から、「東松山」行き又は「八幡団地」行きに乗車、約30分走り停留所「落合橋」で降車、徒歩5分。 |
営業時間 | 昼:11:00~15:00 夜:17:00~22:00 |
定休日 | 毎週月曜日・第二第四火曜日 |
平均的な予算(昼) | 1,500円~2,500円 |
平均的な予算(夜) | 2,500円~5,000円 |
予約 | 可 |
クレジットカード | 不可 |
個室 | 無 |
席数 | 全て座敷:2人用×2、4人用×4、6人用×1 |
駐車場 | 有:約5台 |
禁煙 | 禁煙 |
アルコール | 有 |
ホームページ | www.takaya-soba.com |