人並みに親になり、いつのまにか月日が過ぎ、学生時代の事など日々の雑事に追われ、そうそう思い出す事もなくなっていたが、娘が後輩になるという状況が生まれた。これまたかつて同輩だった女房と共に、娘の元を訪ねた際、昔なつかしい浦和の街を散策した。
十年ひと昔で町並みは変わっていたが、それでも昔の面影は見てとれる程度の変容ぶりに何となく安堵した。(今は市民会館うらわというらしい)往時の浦和市民会館の近くに、渋い蕎麦屋を発見し、昼食をいただく事にした。
「分上野薮かねこ」、これ以上分かりやすい店名もあるまい。当然ながら東京の老舗"上野薮"の暖簾分け店で、店主は"かねこ"さんであろう。しかも店構えは渋い。これは期待できる蕎麦屋だと誰でもわかるのである。
店の脇の廊下の様なアプローチを通って入り口を入ると、店内は落ち着いた雰囲気でありながら、それ程格式ばっている風でもなく、大人の隠れ家的ないい感じの店内だった。
早速「天せいろう」と「サラダそば」を注文。雑談しつつ待つ事しばし、店内での携帯電話の通話禁止とのさりげない掲示。落ち着いた雰囲気で、ゆっくり食事を味わうなら当然と納得。
そばが来た。程良く緑色を帯びた白くも黒くもない普通のそば、蕎麦殻を挽き込んでる風もなく、あくまでも表面は滑らか。細く揃ったそばは職人の確かな腕の証し。まずは、汁につけずに一口。微妙なそばの香りが口から鼻に抜け、次いで口の中に広がる甘み。滑らさも弾力もある。少量のつなぎは使っている感じは受けた。味や香りでは十割そばが究極かも知れないが、喉越しや食べやすさの点では、少量のつなぎはあって然るべきと一人で納得した。
自家製粉との事だったが、変に粗く挽かずに、普通にそば粉を挽いているらしいのがまた好感が持てる。これだけ味わいあるそばなら、つゆなしでも行けると、そのまま二口三口いただいた。
次いで汁につけて食べてみる。??だし感が無いわけではないが、少し醤油が勝っている気がした。化学調味料に慣らされた我が舌には、あまりに切れが良すぎる?
江戸前の辛つゆではあるのだが、化学調味料に慣らされ、甘い麺つゆに慣れ親しんだ我が味覚には、どうも切れが良すぎたかも知れない。などと思いつつ食べ進むと、これはこれでそばの味わいを邪魔しないので、そばを楽しむには相性は悪くはないのかも知れないと思われなくもない。 天ぷらも程良くカラっとしていて、おいしくいただいた事は言うまでもない。女房殿も、大葉とミョウガ?の効いたさっぱりサラダそばを堪能したと申しておりました。
店名 | 分上野薮かねこ |
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電話番号 | 048-822-6392 |
住所 | さいたま市 浦和区仲町2-9-11 |
アクセス | JR浦和駅より徒歩10分程度 |
営業時間 | 平日11:00~21:00 土日11:30~20:30 |
定休日 | 水曜日定休 |
平均的な予算(昼) | 食事メニューのみでは¥700~1,800程度 |
平均的な予算(夜) | 基本食事メニューは変わらず、つまみ2~3品でプラス¥1,000~¥2,000程度、あとは飲み物代¥500~飲んだだけプラス |
予約 | 可 |
クレジットカード | 不明 |
個室 | 無 |
席数 | カウンター4席+4人かけテーブル1席+2人かけテーブル2席 |
駐車場 | 無 |
禁煙 | 禁煙 |
アルコール | 有 |
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