静岡市中心部にある伝馬町小学校の、校庭グランドに面した通りにある店先を車で行けば、気づかずに通り過ぎてしまうほどのシンプルな立て看板に"そば"にKURITA(くりた)とだけ書かれた、間口一間半ほどの店舗入り口である。
しかし、蕎麦好きであればすぐに気が付く。自家製粉用の石臼機と、麺うち場が通りに面し、どうぞお試しあれとばかりに引き込まれる雰囲気がある。KURITAは、石臼引きの自家製粉の手打ちそば屋である。
ドアを開け、左手にある麺打ち場を見ながら入店すると、奥から「いらっしゃいませ」の声が聞こえた。オープンキッチン風のカウンター席を中心に、手前には4人掛けテーブルが2つ、奥には小あがりの畳テーブル席が2つ、カウンターには7人掛けの合計23席が設けられている。
基本、お店のきりもりは、御主人と女将さんの二人とのことですが、昼時のピーク時間だけ、お手伝いをお願いし、こなしている。
早速の注文をメニューからのぞむと、二八のおせいろと一九の田舎そばが目に入った。私と連れ添いで、おせいろと田舎そばをそれぞれ注文することとする。せいろは、釜揚げまでに25秒、田舎は90秒、ムムこの違いはなんだ?とカウンター越しに、覗くほどに見え隠れする田舎蕎麦の極太に気づき驚く。割り箸とほぼ同じ太さである。
オープンキッチンなのですべての所作が、お客のまえで繰り広げられる。主人の無駄のない動きと、おかみさんとのあうんの呼吸にはそば作りへの二人の自信が伺える。市内有名店で10年修行の後、現在のお店をオープンして10年が経つ。御主人とおかみさんと称するには二人とも、お若く、蕎麦屋というよりイタリア料理店のオーナシェフ夫妻の方が良く似合うほどだ。
また、器のセンスもよく、遠方まで器を探しに行くこともあるとのことで、こんな蕎麦屋もあっていいなと思ううちに、そばが運ばれてきた。
早速、おせいろを口に含むと、8月のこの熱い時期にもかかわらず、口に入れた蕎麦の香りが意外にも早く広がった。舌の上で蕎麦を切ろうとするとスルッと切れるのに、歯で噛みこむと、押し返されるほどに弾力とかみごたえ感があり、この時期にしては香りもたつ。
一方、田舎蕎麦はさらにすごい。極太の麺は口に運ぶ量を加減しないと、口中が蕎麦でいっぱいになる。子供のころに住んでいた、富士山の裾野で農家の友人の婆様が打ってくれた、蕎麦の味を思い出す。噛めば噛むほど口の中が、蕎麦の香りでいっぱいになり、その味に田舎蕎麦の本領を堪能した。
自家製粉のせいか、まる抜きとそば粉の管理は徹底していることもうかがえる。聞けば、麺打ち場の温度管理には気を遣い、玄そばも、その場にストックしているとのこと。この時期はエアコンをかける機会が極端に増し、ほぼかけっぱなし、とのこと。また、付き合う製粉会社からの玄そばの仕入れにも工夫をしている様子。
香りのあるサラリとした蕎麦湯は、無駄な打粉をよく落としてからの、ゆで釜の湯であることがわかる。すっきり頂き、ごちそうさまとなった。また来ようと思う。次回は天せいろと、温かい、たまごとじ蕎麦を食そう。その時にまた、楽しい話が聞けそうな、気さくなお店です。
KURITAは女性が一人でも、立ち寄れるおしゃれな、手打ち蕎麦屋、いいムードでした。
店名 | KURITA(静岡市) |
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電話番号 | 054・255・7838 |
住所 | 静岡件静岡市葵区伝馬町12-7 |
アクセス | JR静岡駅徒歩10分 |
営業時間 | 平日11:30-15:00、17:00-21:00 日祝 11:30-21:00 |
定休日 | 月曜日 |
平均的な予算(昼) | ¥1000 |
平均的な予算(夜) | ¥1500 |
予約 | 必要なし |
クレジットカード | 不可 |
個室 | なし |
席数 | 23席 |
駐車場 | なし |
禁煙 | 禁煙 |
アルコール | 有り |
ホームページ | なし |