美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

　伊豆修善寺の温泉街の、おもむきのある蕎麦屋「朴念仁」に行ってきました。このお店は伝説の蕎麦打ち職人石井仁さんが開いたそうです。
　私は以前に石井仁さんが出版した本を見て、修善寺界隈に行く機会があったら是非立ち寄りたいと思っていたお店でした。
　現在はオーナーは変わっているそうですが、有名蕎麦店であることに変わりはありません。

　今回は大仁まで用事があったため、念願の蕎麦をお昼に食べて帰ろうと思い立ちよらせていただきました。古い旅館を改築したらしく、なかなか雰囲気のある店構えでした。

　私が伺った時間は正午は当に過ぎていましたが、まだまだ店の前ではお客さんが５～６名お待ちになっていました。人気店であることを伺わせます。

　待つこと４０分。やっと座敷に通されました。廊下を抜けて奥へ、以前は宴会場にでも利用されていたのでしょう。
　テーブルが七卓でかなり広く感じる部屋で、窓側には緑の竹林が額縁に入った絵のように眼に入ってきて、なかなか良い雰囲気でした。

　懐にゆとりがあれば、いろいろ食してみたかったのですが、今回はこちらの名物である桜えびのかき揚げと蕎麦を注文しました。

　桜えびのかき揚げは、この店の名物だけあって、流石にサクサクで美味しい。
　蕎麦は細く長いのが、喉越しも良いとされていますが、まさにその通りの蕎麦でした。蕎麦だけを手繰って食べ、噛み締めてみると、かすかな香りとほんのりした甘みを感じました。
　蕎麦つゆはというと、鰹だし風味を感じた後に、ほんのりと甘みが出てきます。蕎麦の細さとバランスをとった、落ち着いた上品な味に仕上げてあり、よくまとまっていました。
　蕎麦は、この日は埼玉県産の粉で打った十割蕎麦でしたが、季節によって産地を変えているそうです。
 　修善寺の温泉にさっと浸かり、美味い蕎麦を食べて、家路に着くことができる、大変満足のいく蕎麦屋でした。