美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

　食材買い出しの帰り道に立ち寄りました。夜の部開店の１０分前に到着しましたので、まだ暖簾は出ていませんでした。店の周囲を散策でもしようと思って車外に出ましたが、女将が店内へ案内してくださいました。

　店内のエアコンを急いでつけた後、大きめの湯飲みに温かいお茶を入れて持ってきてくれました。一口飲んでゆったりしたところ、ふと手元に目をやると小さな花瓶に入った可愛らしい生花を見つけました。女将の心配りの一端でしょうか、隣の卓にもやはり置いてあります。

　期待を膨らませてメニューブックを開くと、なるほど客の好みに対応した配慮が随所に見られます。後ほど、ご主人に伺うと、当地の人々の嗜好傾向に沿った経営スタイルにするまでには二転三転のドラマがあったという事でした。

　さて、注文は、数量限定で平日のみという「十割のせいろそば」にしました。少し黒めにそばの色が入った細めの麺線がとてもきれいで印象的でした。

　開店１０年目になるということですが、ご主人のたゆまぬ努力の成果が表れているように思いました。十割そばは、蕎麦つゆにつけないで食べたほうが香りや味がよくわかります。いつも二八そばが主流でしたので、新鮮なそばの味と香りを体験でき、お得感を覚えました。