美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

　　　　
　小ぶりの正方形状のせいろで提供されます。そばの上立ち香があります。含み香もよく感じられます。細目のそばながらも、そばのざらつきがあり、良い感じです。そばの味、とくに甘みなどはあっさりしていて、きりっとした味わいです。これぞ江戸そばとでも言うのかも。美味しいそばだと思いました。
　もり汁にもきりっと感があります。出汁は効いていますが辛口の汁。20年程前にここで食べ、私の記憶に残っていた醤油っぽい辛さではないので、とても良いと思いました。私の記憶違いだったのでしょうか...。
　もり汁をひとくち口に含み、そこにそば湯を流し込み、汁とからませるととても美味しい。それを飲み干した後の「菊正宗」のぬる燗も良い。これだけで充分に酒を楽しめます。
　同行の妻も、好きなタイプのそばと汁だと申しておりました。　

　かけそばを酒菜として、妻と交互に食べてみました。結構時間をかけながら食べている割に、そばは最後までグダグダになりませんでした。
　汁は薄色で出汁が効いています。かけ汁は「飲めば辛いが食べれば旨い」という、まさにその通りの汁です。そしてその辛さも、ほんの少々程度です。もり汁とは全く違った造りの汁として提供されています。丁寧な仕込みをしている店なのだと思いました。食べ終わって、「かけそばを今度は一人一杯ずつ食べたいね。」と妻と話しました。

　それほど美味しく感じたかけそばなのですが、机上のメニューには「かけそば」が載っていないのはなぜなのでしょう...。

　「自家製いかの塩辛」を注文したところ、厨房に確認をして、「まだ漬かりが浅いので出せない。」とのこと。「いや その方が好きだから。」と伝え出してもらう。塩気控え目でフレッシュ感のある、好みの塩辛が食べられて嬉しかったです。