平成24年10月21日、日曜日の午後2時半に店に行く。店は東急東横線学芸大学駅西口を出てすぐ右に曲がり、高架沿いに進み、その先の信号を渡りそのまま進み、五本木交差点方向に向かうと右側に現れる。駅から約300メートルの距離である。店前の道路は目黒通りから駒沢通りへ、あるいは三軒茶屋方面への抜け道となっており、車の往来は多い。人も結構歩いている。駅からの途中、蕎麦屋やラーメン屋、和風レストラン、スナックなども多数有り、初めて駅を降りた方が『駅近くで昼食を・・・』として行く店ではないだろう。したがって、この店は常連客や店目当てに来る客で成り立っているものと思う。
店の外観はとても清潔感があり、郊外の民家のような感じで入りやすい。訪れた時間は昼の部の終盤であったが、店には20代のカップルが1組入っていた。客席はL字型に広がり、4人席テーブルが5卓、カウンターに4席座ることができる。L字の中央部に相当する位置、つまり客室の中央に打ち場があり、カウンター席は打ち場をガラス越しに横から見ることができる。まだ新しい店であるため店内全体が明るく清潔感が漂っており、しかも客室には神棚や置物、凧などの和の小物が点在しており、和やかな気持ちにさせてくれる。30代半ばくらいの若いご夫婦で店を営んでおり、その若々しさが店の雰囲気に表われているようで非常に好感が持てた。
着席してすぐに『せいろ』蕎麦を注文。奥様が運んできた温かいお茶とおしぼりで一息入れる。メニューや無人の打ち場を眺めながら待つこと5分弱で蕎麦が運ばれてきた。とても早く感じた。
蕎麦は白く実に細い。口にするとコシが強く、一瞬『少し硬いかな!?』と感じるほどであったが、口当たりは滑らか。山芋でもつなぎに入っているのであろうか、麺の周りがヌルっとした層で覆われているような状態である。硬いと感じた麺も、噛むと口の中で程良く切れ、柔らかく喉の奥に自然と流れていくようである。味は良い。蕎麦粉のザラつき感は全くなく、ほんのりと香りもある。全体としては優しい食感。ただ、量が少なめである。味に満足しているので、もう一口、二口あれば量も十分満足できる、そんな感じ。したがって、男性であれば大盛りの方が安心かもしれない。
蕎麦つゆはやや甘口に感じた。鰹出汁だと思う。味は良い。蕎麦の量に合わせてか、つゆの量はやや少なめ。蕎麦をつゆにつけても嫌味はなく美味しかった。 薬味はネギとわさび。わさびの量は多め。
しばらくすると蕎麦湯が運ばれてくる。飲みきれないほどの量である。蕎麦湯は薄く白濁している。しかし、薄く感じたのは見た目だけであり、味は程良い濃さであった。蕎麦つゆを割ってももちろん美味しかったが、とろみのある蕎麦湯をそのまま飲むとさらに美味しく感じた。どちらかといえば濃い目の蕎麦湯が好きな私にとっては、実にぴったりの味と食感。もう止まらなくなり、汗をかきながら、熱い蕎麦湯をそば猪口で何度もお替りした。
カップルが先に帰り、自分も食べ終えたところで、ご主人が蕎麦打ちの準備を始めた。奥様を介して見学の許可を頂き、ご主人の蕎麦打ちの様子を拝見した。ご主人の真剣な姿にこちらも真面目な気持ちで見学させて頂く。自分でも蕎麦を打つので、プロの技との違いを学ぶ。麺棒でのすと生地が水飴のごとく柔らかく、『すぅーっ』とのし台に拡がっていく。蕎麦のコシの強さからは想像できないくらいの柔らかさである。打ち粉についても同様。思っていた以上に多く使用している。打ち粉はあまり使わない方が良いと思っていたが、そうではないようだ。まな板の上にかなりの量の打ち粉が振られている。さらには、切り方についても学んだ。畳んだ生地の最後の部分を綺麗に切るために僅かに包丁を斜めに入れていた。非常に大きな収穫であった。
打ち終わったご主人に蕎麦粉についても伺った。粉は北海道をメインにしながら、他地域のものも多少ブレンドしているとのこと。代金を支払い、お礼とともに再来を約束して店を出た。
全般的な印象としては、和を基調とした和やかで落ち着く店構え、若いご夫妻の店が醸し出す非常に明るく清潔な雰囲気、コシの強さと滑らかな蕎麦の食感、どれも素晴らしかった。あえて注文を出すとすれば、若干蕎麦の量が少ないと感じたため、50円程度値段を下げるか、蕎麦の量を僅かに増やしてくれるとさらに嬉しい。駅からそれほど遠くない、気軽に入れる良味のお店である。お薦めの一店になると感じたので、『上』の評価でも良いのかなと思っている。
【写真の説明】
1 店の外観
2 蕎麦のメニュー
3 せいろ蕎麦
4 蕎麦湯
5 店内の様子
6 打ち場の様子
※主なメニュー
冷たい蕎麦
せいろ:700
ざる:800円
おろし:1,000円
納豆(玉子入り):1,200円
鴨せいろ:1,400円
天せいろ:1,700円
温かい蕎麦かけ:700円
たぬき:800円
若鶏南ばん:1,100円
カレー南ばん:1,300円
鴨南ばん:1,400円
天ぷら:1,500円
※大盛りは200円増し
釜あげうどん:1,100円
なべ焼うどん(玉子入り):1,800円
限定 なすと豚肉のつけ汁蕎麦:1,100円
一品料理
長いもとおくらのおひたし、新しょうが、セロリ浅漬、えいひれ、
ゆず大根、冷奴、もずく酢、いぶりがっこ、塩らっきょう:各300円
どじょう唐揚:500円
牛もつ煮込み:500円
本まぐろ山かけ:600円
焼みそ:400円
板わさ:700円
ビール:600円
日本酒
刈穂 吟醸 秋田:800円
写楽 純米吟醸 福島:900円 他
焼酎(蕎麦、芋、麦):各600円
梅酒:600円
店名 | いしおか |
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電話番号 | 03-5722-1854 |
住所 | 東京都目黒区中央町2‐35‐14 |
アクセス | 東急東横線 学芸大学駅から徒歩約4分 西口から高架沿いに渋谷駅方向に進み、信号を渡り『五本木』交差点方向に進む |
営業時間 | 昼 11:30~15:00 夜 17:00~20:00 |
定休日 | 火曜日 |
平均的な予算(昼) | 1,000円程度 |
平均的な予算(夜) | 2,000円程度(軽く一杯飲んで軽くつまみと蕎麦を食べて) |
予約 | 可 |
クレジットカード | 不明 |
個室 | 無 |
席数 | 24席 |
駐車場 | 無 |
禁煙 | 禁煙 |
アルコール | 有 (ビール、日本酒、焼酎) |
ホームページ | 無 |