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与志田(東京都

常連客好みのコシのある、喉越しの良い田舎蕎麦
レポート提出者:かきあげそばさん

 平成24年10月17日、水曜日の午後2時過ぎに店に行く。店は東急東横線学芸大学駅西口を出て直ぐ右に曲が1_店の外観[1].jpgり、高架沿いに100メートルほど渋谷駅方向に進むと左側に現れる。商店街のメインストリートではないものの、学芸大学は都内でも非常に人気の駅であり、その駅から至近距離にあるため、通行人も多い。近隣にはラーメン屋や居酒屋などのライバル店も多く、蕎麦屋を長年続けられるのもそれなりの来客数があるからだろうと推測できる。通行人は高校生や若い夫婦なども多いが、周囲には昔からの高級住宅地が広がっており、若い富裕層や高齢者も非常に多い。事実、飲食した約30分間を見ても、ランチタイムを過ぎた時刻ではあったが、20代学生風の男女3人組、評論家あるいは学者風の30代後半の女性客1人、30代女性の2人組、80代の母親と60歳くらいの息子など、常連客もしくは店の評判を知って来店したと思われる客が店を利用していた。

4階建の小規模マンション1階に店はある。2階に歯科クリニックがテナントとして入っており、このマンションは蕎麦屋の所有であろう。店は家族で経営していると思われ、厨房に2人、客席に2人程度が働いているようだ。店の広さとしては小規模と言える。和風の作りの入口上部にはステンドグラスがはめられており、独特な雰囲気を醸し出している。店内に入ると、落ち着いた和の空間が広がっており、右側には座敷席が、左側には椅子席がある。座敷席は4人席テーブルが3卓。しかし、そのうちの1卓は狭くて実際には2人席と言える。一方、椅子席は、2人席1卓、4人席2卓となっている。合計で実質20席となる。

昔ながらの白熱電球を使った照明は、木と塗り壁調の壁紙に包まれた客席に温もりのある光を届けている。店内は大正や昭和の昔を感じさせるとても懐かしい雰囲気があり、何だかホッとできる一方で、いい加減な気持ちで蕎麦を口にすることはできない、ある種の緊張感も感じられる。2_店頭の張り紙[1].jpg

 メニューは豊富であったが、迷わず限定の『田舎そば』(もり)を注文した。メニューの説明書きによれば、蕎麦粉の生産地は福井県福井市。生産者は吉田裕一氏。品種は在来種だそうだ。さらに別な説明書きによれば、『当店の「田舎そば」は、国内産100%の玄そばを石臼で製粉した挽きぐるみのお蕎麦です。・・・当店の「田舎そば」では、この玄そばを石臼でより細かく挽くことで、その(麺の)粗さを限りなく押え「喉越し」の良いおそばに仕上げました。』とある。とても楽しみである。それまでの間、冷たい麦茶を頂く。

待つこと約5分。『田舎そば』は予想どおりに蕎麦の色が黒く、思わず『こんにゃくか!? それともイカスミか!?』と3_田舎そばのメニュー[1].jpg感じるほどであった。麺は太めで存在感があった。目で十分に楽しませてもらったので、次に蕎麦を一口頂いた。麺はコシが強く、口にいれても『ベチャッ』とした感じはなく、結構な力で噛まないと切れないほどの歯応えだった。田舎っぽい蕎麦の香りもある。麺にざらついた感じもなく、すっきりとしており、喉越しはとても良かった。説明書きのとおりである。口の中で適度に蕎麦が主張する食感は心地良かった。麺の太さが微妙に違っているのは手打ちの証であろう。また、麺の長さは程良く、量についても普通はどの店でも大盛りを注文する私だが、一枚で十分なくらいの量であった。

蕎麦つゆは濃く、甘辛かった。むしろ、とても濃く辛い中にほんのりと甘さを感じる、という方が近いかもしれない。出汁の香りも十分だが、何を使っているのか私には良く分からなかった。鰹か? 薬味はネギとわさび少々。わさび好きの私はもう少し欲しかった。蕎麦つゆに蕎麦をつけて食べてみたが、やはり味は濃く、正直少し辛さを抑えても良いのではと感じた。

しばらくすると蕎麦湯が運ばれてくる。蕎麦湯は薄く白濁している。やや薄めでさっぱりした感じ。蕎麦湯に蕎麦の香りや食感が残っており、そのまま飲んでも美味しかったが、濃くて辛い蕎麦つゆを薄めの蕎麦湯で割ると丁度良くなった。

 壁に『十穀雑穀米のおむすびをサービス致します』と張り紙がある。隣の席の30代の女性客は注文していた。頼めば出してくれたのであろうが、『店員も一言尋ねてくれても良かったのに・・・』と正直思う。これも常連客が多い証拠なのかもしれない。

 夜のメニューである酒の種類は普通だと思う。つまみの種類はもう少し多くても良いと思うが、チェーン店の居酒屋4_田舎そば[1].jpgのようにガバガバ飲み食いする場所でないので妥当なのかもしれない。子供向けの料理やデザートはメニューに見当たらなかった。

 全般的な印象としては、大人の常連客が多い店と感じた。和の雰囲気で温もりを感じる店構えと、すっきりとしつつも、しっかりとした蕎麦の味。好きな人にはたまらないだろうと思う。値段が全体的にもう少し安ければ良いことと、蕎麦つゆがちょっと濃すぎるような感じがしたことが気になったが、今回食べた蕎麦は美味しかったのでまた行ってみたいと思った。全体としての評価は『中の上』であった。

 

【写真の説明】

1 店の外観
2 店頭の張り紙
3 田舎そばのメニュー
4 田舎そば
5 田舎そば(拡大)

※主なメニュー

田舎そば(限定):もり、かけ 800円5_田舎そば(拡大)[1].jpg
冷たいせいろ(蕎麦、うどん)
もり:700円
ざる:800円
なめこおろし:1,000円
珍味胡麻:1,000円
からみ大根おろし:1,100円
とろろ:1,050円
たぬき:800円
きつね:900円
冷天ざる:1,100円
温かいつけ汁のせいろ
天ぷら(かき揚げ):1,100円
カレー南蛮:1,050円
鳥南蛮:900円
肉南蛮:900円
親子南蛮:1,000円
鴨南蛮:1,300円
ぶっかけ蕎麦、うどん:1,100円
せいろ二段重ね:1,000円
きのこそば、うどん(つけ汁可) 5種きのこ入り:1,200円
サービスセット
せいろと天ぷら(海老・いか・野菜):1,400円
ご飯もの(お新香、一品、お椀付き)
天丼:1,400円
かき揚げ天丼:1,100円
精進揚げ天丼:1,100円
親子丼:1,100円
玉子丼:1,000円
かつ丼:1,100円
ささみ丼:1,100円

特製カレー丼:1,050円
かつカレー丼:1,300円
麦とろめし(お新香、一品、お椀付き):1,100円

 一品料理

厚焼玉子:800円
鳥わさびあえ:900円
焼鳥:1,100円
板わさ:700円
ぎんなん:700円
鯵昆布〆:1,200円
酢の物:900円
お新香(自家製):600円
ビール
エビス中ビン:600円
エビス生(ジョッキ?):600円
日本酒(冷酒)
秋田 春霞 純米:600円
東京 澤乃井大辛口 純米:600円
宮城 浦霞 純米:700円
新潟 八海山:750円
石川 菊姫 山廃 純米:750円
山口 獺祭 純米大吟醸:950円
日本酒(燗酒)
秋田 春霞 山廃本醸造:600円
焼酎 
鹿児島 隠し蔵 麦:500円
鹿児島 伝 芋:650円
宮崎 黒霧島 芋:500円
宮崎 平蔵 芋:550円
熊本 球磨の泉 米:500円
ワイン 赤・白 各2,000円

店名与志田
電話番号03-3715-8658
住所東京都目黒区鷹番3‐8‐3
アクセス東急東横線 学芸大学駅から徒歩約1分 西口から高架沿いに渋谷駅方向に進む
営業時間11:00~22:30
定休日月曜日  ※祭日は営業
平均的な予算(昼)1,000円前後
平均的な予算(夜)2,000円程度(軽く一杯飲んで軽くつまみと蕎麦を食べて)
予約
クレジットカード不明
個室
席数20席
駐車場
禁煙禁煙
アルコール有 (ビール、日本酒、焼酎)
ホームページ
35.6296556,139.68552820000002

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