美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

　店舗は築後１４０年余りの会津只見地方の曲家を移築したそうで、天井が高くどっしりとした雰囲気である。

　多摩地区の名店で一度は行ってみたいと前々から思っていたお店、駐車場の車も都内や他県のナンバーが多い。

　こちらのそばは、石臼挽きの自家製粉による手打ちそばである。分量は少な目と知っていたので相方と二人で『おせいろ（税抜き￥1000）』『ダッタンそば（￥900）』『鴨南蛮（￥1900）』を注文する。

　『おせいろ』は１０割の時もあるが今は夏そばで９割、季節によって配分が変わるとのこと。ほどなくせいろが二つ運ばれてきた。『おせいろ』は正に手打ちの逸品といったところか。

　『ダッタンそば』は『おせいろ』ほど香りは高くないが、少し太めで色が濃く、なかなかの歯ごたえである。

　完食間際にそば湯が出てきて、一息つくと『鴨南蛮』が来た。温そばはそれまでのものと違い田舎蕎麦風のかなりの太麺である。大きな合鴨が器の中に３枚と別皿に２枚もついてくる。しかも合鴨の肉団子が数個入っており、ねぎも程よい柔らかさだ。

　少々価格は高めな気がしたが、内容はそれに十分見合っている。

　注文品の出てくる順番や、緑茶・ほうじ茶或いはそば湯の現れるタイミング等が絶妙であり、また従業員の方もてきぱきと動き、受け答えもしっかり。非常に良く訓練されている様子である。

　蕎麦の味・薬味の豊富さ・店の雰囲気・接客態度等、なるほど繁盛店とはこうしたものかと感心させられた。二人で分け合って三品も食し、少し得した気分になった。