地下鉄内幸町駅の近く、喧騒の外堀通りから西新橋側にほんの少し入った小道に、2011年1月にオープンした友庵(ゆうあん)はあります。
店主は港区に生まれ育ち、白金台にある利庵へ入門、13年修行した後、新丸ビル内のそば屋の料理長を経て独立されたそうです。
店先には、店名の入った小さな掛行灯と、暖簾があるだけで、大変すっきりとした佇まいです。
店内に入ると、和風モダンの落ち着いた雰囲気です。右側は調理場になっていて、手前から釜、中台、レジがあって、奥は打ち場になっています。左側の客席は4人掛けのテーブルが5卓あります。お昼のテーブルには小さなメニューと七味があるだけで、夜にはそこに箸がセットされているだけの本当にすっきりとした清潔感溢れる店です。
自家製粉にこだわっているようで、店先の立て看板には、「本日の蕎麦、生産地:北海道和寒町、品種:キタワセ」と表示されていました。本来なら、【蕎麦前】→【お蕎麦】、となるところでしょうが、酔っぱらってしまっては、食味体験レポートとしては失格。そこで、先ずは、もり650円を注文しました。
お蕎麦は中細。切り揃えも良く、少しだけ星が入って、薄い灰色で、いかにも新蕎麦を自家製粉しましたといった仕上がりです。
お蕎麦の表面はしっとりして艶があります。噛むと新蕎麦の甘い香りが口の中を駆け巡ります。しっかりと茹でられている割には腰もあり、味わいと喉越しの両方を楽しめる蕎麦だと感じました。
汁はそれほど辛くはなく、蕎麦の邪魔をしません。香りや味が際立っているよりも、この方が蕎麦の汁としては美味しいと言うべきなのかもしれません。少々多めの汁をつけてズルズル~とやりました。
蕎麦湯は蕎麦粉をお湯に溶いて作るタイプではなくて、釜から直接、湯桶に入れてくれます。私はこの方が好き。ただし、夜の営業が始まって直後に入店したせいか、釜の湯はまだ新しく蕎麦湯は少々薄かったです。一番風呂は寒くて体に良くないって聞きますが、蕎麦湯も同じですね。
友庵は蕎麦を通じて四季を感じるお店を目指すために、蕎麦屋ならではの酒肴にも凝っています。
蕎麦前として「前菜4点盛り750円」を頼みました。私は3点盛りとか、4点盛りとかに目が無いのです。その店の実力が安価に計れるから。この日は、板わさ、蕎麦味噌、小松菜と油揚げの煮浸し、大根と胡瓜の梅和えの4点でした。蕎麦味噌は私好みの蕎麦米が浮いた赤味噌が濃くて硬いタイプです。小松菜は寒さが沁みる冬が旬。霜が降りるほど寒さが続く頃こそがおいしい時期なのです。ほろ苦く、油揚げから冷たい汁がじゅわりと染み出てきます。こういうのを食べると「あぁ日本人でよかった」と思いますね。
さて、もう一品「すくい豆腐450円」を頼みました。すくった手作り豆腐の上にタレがジェルになってのっています。豆乳を頬張った様な懐かしい甘い香り。う~ん、どれも美味しくて、お酒お代わりです。
シンプルで清潔な店内、趣向を凝らした四季あふれる酒肴、これら店主の心遣いの全てが、美味しいお蕎麦へのプロローグになっているんだなぁって感じました。食味体験レポートでなかったら、断然、【蕎麦前】→【お蕎麦】ですね。
お店の立て看板が語っているように、お薦めは、冷たいお蕎麦なら「もり650円」。温かいお蕎麦なら、「親子つけ汁そば(柚子胡椒添え)950円」、「豆腐かき玉そば850円」、「鶏南そば900円」、「とじそば750円」です。急に冷え込んできましたので、次回は温かいお蕎麦に挑戦しよっと。
【写真の説明】
・もり(650円)
・玄関
・店内
・掛行燈
・前菜4点盛り
店名 | 手打ちそば 友庵 |
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電話番号 | 03-3593-7171 |
住所 | 〒105-0003 東京都港区新橋 1-11-8 丸万5号館 1F |
アクセス | JR新橋駅より(烏森口)徒歩7分 地下鉄内幸町駅より徒歩5分 地下鉄虎の門駅より徒歩5分 内幸町駅から316m |
営業時間 | 昼 11:30~14:30 夜 17:00~22:30(LO 22:00) |
定休日 | 日曜・祭日 土曜日はランチのみ |
平均的な予算(昼) | ~1000円 |
平均的な予算(夜) | 1,000円~2,000円 |
予約 | 可 |
クレジットカード | 不可 |
個室 | 無 |
席数 | 20(4人テーブル5卓) |
駐車場 | 無 |
禁煙 | 時間帯禁煙 |
アルコール | 有 |
ホームページ | http://r.goope.jp/yuan-teutisoba |