美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

　麻布十番にある「永坂更科　布屋太兵衛」は、芝大門の更科より２年前の１７８９年・225年前から存在する。寛政の初めに初代布屋太兵衛が江戸麻布永坂に「信州更科蕎麦処　布屋太兵衛」の看板を掲げたと言われている。故郷の信濃国更級郡の更と領主保科家の科をとり更科の名前が生まれ、さらに地名である永坂もついて永坂更科となっているという。御前そばは江戸城に収めていたことからの由来ある名前である。その御前そばを今回は食してみた。２軒目の「蕎麦の実の芯だけで打ったそば」である。

　見事な白さで細く透明感も感じる出来であった。細く長く、食感は柔らかいけれどしっかりしたフレームである。10割ということの確認を再度してしまった。北海道の新蕎麦で芯のみを使用という御前そばであった。

　汁も甘汁とから汁があり両方を試してみる。御前そばはどちらにでも合う美味しさである。甘汁とから汁の両方提供するのは珍しく私は大好きである。特にさらしなそばはその濃さの差を味わうことが出来ると思った。お店の推薦は甘汁で御前そばを、辛汁でもりをと言っている。

　もう１品、そば雑炊を食した。薄味の汁の中にごはんとそばの実が7.8割対2.3の割で入っている。確かに雑炊と記されているのでごはんが入っていてもいいのだが勘違いしてそばの実だけかと思っていたので一瞬びっくりした。とき卵がかかり鴨肉も２枚入っている。そばの実が少なかったのでやや本質的な味が分からなくなってしまった。しかし雑炊としての味は塩分少なめでおいしい。

　店は清潔ですっきり店員の対応もそこそこによい。場所からして外国の方も多く来ている店である。

【写真の説明】
・玄関
・御膳そば　860円
・そば雑炊　1600円