美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

若者たちが集う街、原宿の【原宿クエストビル】。

エレベーターホールには控えめにお店の案内が...。

４Ｆで降りると左側に大きな白い暖簾があり、外の雰囲気とは打って変わって静かで落ち着いた大人の世界。

靴を脱いで案内された店内は純和風の作りで、広い下足場から店内に通じる廊下の左側には個室があり、その先に空間が仕切られたテーブル席が数席、その向かいの手打ち場では職人さんが蕎麦打ちの真っ最中。1.5㎏くらいかな？

一番奥の厨房前からＬ字型に伸びるカウンターがあり、表参道の並木が見下ろせる。

そのカウンター席の背中側には掘り炬燵式の東屋のような半個室風。

このように店内のレイアウトは、色々なシチュエーションに対応できるような設計に。

表参道の並木を見下ろせるカウンターの左端の席に案内され、席に着くと温かいそば茶とおてふき、メニューがおかれる。

見るとお蕎麦、おつまみ、お酒、コース料理などがあり、色々なニーズに対応できる内容。

 

この日はその中から、≪前菜四種盛り＋お好きな蕎麦≫を選べる【前菜コースＢ】をお願いする。

お蕎麦はメニューブックの中のすべてのお蕎麦が対象で、少し迷った末に"穴子天せいろ"に決定。

 

ほどなく運ばれてきた直径１５ｃｍくらいの丸い皿の上にはきれいに盛り付けされた前菜四種。

 

写真左上より時計回りに

・キノコと焼き魚の菊花和え

程よい出汁加減のおつゆで味付けされた占地やエリンギなど数種のキノコ、焼き魚のほぐし身（カマス？）と天に茹でた黄色い菊と紫色のもって菊。

 

・里芋唐揚げと素揚げ銀杏と栗

揚げたてで、外側カリッと中はねっとりの里芋と素揚げした銀杏、甘く煮て表面を少し炙った栗。

 

・鴨ささみの生姜醤油和え

霜降りされた鴨のささみを生姜醤油と蕎麦の芽で和えたもの

血生臭さはなく、やわらかい鴨のささみ。生姜がよいアクセント。

 

・青豆豆腐の醤油豆のせ

味の濃い青豆豆腐に、黒豆と麹で作った醤油豆を乗せたもの。醤油豆だけでもおつまみになる逸品。

 

お酒を飲める方はこの四種盛で、二合位は飲めそう？

 

じっくり前菜を味わった後は、いよいよ穴子天せいろの登場。

 

■蕎麦

・漆塗りの比較的高さの低い長方形のせいろ

・自家製粉か粉での仕入れかは不明

・二八蕎麦

・玄蕎麦殻交じりの薄灰色の細切り→玄蕎麦殻を混ぜて打ったそばには異論あり（好みの問題だが...）。

・量は生で１２０～１３０ｇくらい？

・盛り付けが素人っぽく少々残念。

・見た目少々硬そうな面持ち→食べるとやっぱり硬め。

・冷水でかなり〆てあるが、もう１０秒前後茹でると二八らしい腰と喉越しが出ると思う...。

・蕎麦自体の香りはごく僅かに感じる程度で、啜り上げた時の、鼻から抜ける蕎麦の香りもほとんど感じない。

よく噛んでやっと、仄かに甘味や鼻に抜ける香りがする

・味わいが薄いので後味はすっきり。

・おつゆがしっかり（濃い目）している分、蕎麦尻を"チョンづけ"程度にしないと完全に蕎麦が負けてしまう。

 

■つゆ

・予め蕎麦猪口に注がれて供される

・蕎麦猪口を口に近づけたときにフワッと鰹が香る

・しっかり出汁が引かれ、かえしとのバランスは、ごくごく僅かに醤油が勝っていると感じた。（←好みの問題）

 

■薬味（白ネギとわさび）

・どちらも量は少なめ

・わさびは甘味が少ない

・自分自身は基本的に薬味は無くてもよい人です。

 

■穴子天

・天つゆはなく、小皿の荒目の岩塩、もしくは蕎麦のおつゆで食べるスタイル。

・予め食べやすい大きさにカットされた穴子四切れと伏見唐辛子一本。

・揚げ色は白い→揚げが足りないと思う...。

・モッタリとした衣と、ムニョっとした穴子。

・薄めの衣で、高すぎない温度で揚げ時間を少し長めにし、揚げ上がりの直前に温度を上げてあげると表面サックリ、中はふっくらでよりおいしい穴子天になるのだけど...。

 

最後の一箸を食べ終わるタイミングで蕎麦湯が置かれ、おつゆの残った蕎麦猪口に注ぐと、僅かに白濁した蕎麦湯。

サラッとした蕎麦湯を残ったおつゆとともに猪口一杯分飲み干し、腹具合は８～９分目で、ボリューム的には満足...だけど、食後のプチデザートのようなものがあったらなお良かったかな?

 

ごちそうさまでしたm(__)m

 

駅から程近く、またビルの四階ということで、静かな店内で、手をかけたお料理とお酒をゆるりと愉しみ、〆に蕎麦を手繰るにはもってこいのお店。

なので、お蕎麦の印象がもっと良ければ"蕎麦好き""蕎麦屋好き"な方々に素直におススメできる一軒だと思いました。