美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

平成２５年４月１６日、火曜日の午後１２時２０分過ぎに入店。東新宿駅から通称職安通りを抜弁天方向に進み、北に約１００メートル入った住宅地の中の小さな商店街の一角にある。目立たぬ外観に蕎麦屋のイメージは無く、一度通過してしまった。店内はバーやスナックの様相。いわゆる『町の蕎麦屋』の雰囲気は全くない。照明は落とし気味で、静かな雰囲気。カウンターに一升瓶が並んでいる。カウンターの８席の他に、四角のテーブルに４席、おしゃれな切り株のテーブルに５席、奥の座敷に４名卓が２つある。店内は広くないが、そこがまた良い。

　本日のサービスランチＡ『鶏焼・焼鳥 鶏団子温玉丼 蕎麦orうどん』(８８０円)も気になったが、基本どおり、『せいろ』(５７０円)をお願いした。せいろ２枚で麺は約１７０グラム、２００円増しの大盛りでは３枚になるとのこと。普通盛りでお願いした。

メニューによれば、蕎麦は北海道(幌加内)産を主とした蕎麦粉を石臼挽し、喉越しを大切にして、１日２回打っているとのこと。

蕎麦汁も、本節、土佐宗田鰹節、鯖節をバランスよく調合し、日高昆布の出汁と合わせて作っているとのこと。とても楽しみだ。

待つこと約５分、蕎麦が出てくる。

蕎麦は白色で、太さはやや細め、瑞瑞しい感じ。蕎麦の香りは感じられない。茹で加減はやや硬めだが、それほどの問題はない。歯ぬかりはない。『喉越しをお楽しみください』とメニューに添え書きがあるとおり、喉越しはとても良い。するすると入っていく。２枚ともすぐになくなった。

蕎麦汁は甘め、濃さはやや軽め、味の深みはややあっさりとした感じを受ける。甘ったるさ、ベタつき感はない。本節などをブレンドしているからか、鋭い香りはない。柔らかい香りだ。蕎麦をつけて食べると汁は薄くなるため、あともう少し濃い味でもいいかもしれない。

蕎麦湯はやや白濁しているが、あまりドロッとした感じではなく、あっさりとしている。蕎麦汁があっさりしているので、蕎麦汁を割って飲む場合、全体的に薄く感じてしまうような気がする。

残念な点が一つ。薬味はネギとわさびであったが、ランチ時で事前準備していたのであろう、ネギが乾いていた。惜しい。わさびも足りなかったため追加してもらった。

まとめとしては、日本一の歓楽街：歌舞伎町から少し離れた住宅地の中にある、『大人の隠れ家』のような蕎麦店としてお薦めできる。蕎麦の味そのものは普通であるが、勤め人の懐に優しい価格であり、ランチでも、夜の宴席でも使える店として覚えておいて損はない。喉越しの良い蕎麦を安価で食べられることは、やはり魅力的である。酒や肴にもこだわりがあるようだ。次回は『本日のサービスランチ』になるか、あるいは、仕事帰りに仲間を誘って一杯飲みに来ることになるか、どちらが早いか。そんな、どことなく魅力的な店である。