虎の門の近く、外堀通りから西新橋側に入ったところに、開店2年目(2010年7月オープン)を迎える長谷川はあります。
鉄板に「長谷川」と切り抜いた小さな表札が印象的な、和風なのにモダンな玄関です。季節によって、暖簾の色が変わるのでしょうか、前回、冬にお邪魔した時は真っ白な暖簾でしたが、今は夏らしく鮮やかな水色の暖簾がかかっています。
玄関から入って先ず目に入るのが、正面にL字型の8人掛けのカウンターとその中の厨房、カウンターの左側に蕎麦打ち部屋があります。手前には、4人掛けのテーブルと3人掛けのテーブルが各1つ、一番奥には個室があり、7人掛けの掘りごたつ式になっています。
・昼の巻
今回、たまたま、新橋に仕事があったので、その前に長谷川で腹ごしらえをしようと1時過ぎに暖簾をくぐりました。昼食時の混雑はさっと引けた後なのか、お客は私一人です。和風な店内とは裏腹に乗りの良い洋楽がうるさくない程度の音量で流れていて、年齢に関係なく落ち着ける雰囲気です。
ここは、インターネットの口コミによると、お昼のセットメニューが美味しくボリュームもあって、ご近所のサラリーマンに人気だそうです。「せいろとミニ丼」のセットが750円と立ち食い蕎麦店並みのコストパフォーマンスです。
蕎麦打ち部屋に「本日のお蕎麦、2012年度産、夏新そば、生産地:群馬県渋川市、品種:きたわせ」と貼ってあり、蕎麦粉に対してのこだわりが感じられます。本日のお昼のサービスは、「大盛り無料」だったので、注文は「せいろ」だけにしてみました。
真っ黒な笊(戸隠根曲り竹かな?)に、少し太めの1.7mmから2mmくらいの少しグレーがかった色の蕎麦がピカピカと良く映えます。星はあまりなく、全体的に少しだけグレーがかっているだけで、十分に篩をかけた良い粉なのでしょうか、表面はつやつやです。 香りは、早生らしく、うっすらとさわやかな香りです。口に入れてみると、舌触りはなめらかです。茹ではやや固めですが、芯がのこっている感じではありません。太さ的にすすり込むことはしないで、もぐもぐ噛んで食べてみると、新そばの香りが口いっぱいに広がりました。おいしい。
汁は、まろやかで、おとなしい感じです。甘くなく、辛くなく、このお蕎麦を食べるには最適な感じでした。強いて言うなら出汁が弱いかな?お蕎麦の香りを邪魔しない様に、あまり出汁の香りが強すぎない方が良いと、よく聞きますが、私にはこの汁の出汁の出方はちょっとだけ物足りない。後で残った汁に蕎麦湯を入れて飲んだときに、「ああ、やっぱり」と思いました。
薬味のネギと山葵はとても気に入りました。ネギは薄切りで適度に水にさらしてあり、山葵も香りが良かったです。何より、その適度な量に嬉しくなりました。ほんのちょっとずつ使う分だけをセンスよく盛っています。それでいいのです。大量の薬味が出てくるところは、蕎麦も期待できないことが多いのです。
●夜の巻
日もとっぷりと暮れて新橋の仕事もようやく終え、仲間とそこらで一杯ということになりました。そこで、私から提案です。「すぐ近くに蕎麦屋があるんだけど、酒もつまみも充実しているので、そこに行かない?」仲間は、「蕎麦屋で飲むの?」と、うさんくさい顔をしながらも、私を信じて渋々とついてきます。本日、長谷川、ダブルヘッダーです。
そこで、晩酌セットを見つけました。これは最高の出会いです。生ビール1杯+前菜三種盛り+本日のお刺身+炙り鴨+本日の揚げ物+そして、締めの手打ちそばのセットなのですが、なんと、1980円です。どれも美味しい!
更に、カウンター客だけの特権として、カウンターセット980円があります。こちらは、ワンドリンクサービス+生ゆば豆腐+本日のお刺身+鶏串揚げ+手打ちそばです。 これらのセットは、おつまみも十分すぎるぐらいあって、最後にお蕎麦も食べられます。しかも、お蕎麦は締めなので、いつでもほしいときに注文できます。後は、お酒を何倍おかわり(2杯目からは別売り)するかですね。本当にコストパフォーマンスの良い店です。
また、夜は、一品料理も充実しています。20品程度ですが、どれも手間暇かけた、ちょっと小粋の料理ばかりです。宴会コース3500円(飲み放題付き4500円)のコース料理もあります。予約は2名以上で前日までに連絡が必要ですが、晩酌セットやカウンターセットを知っているだけに期待特大です。
お酒は店主が厳選したものばかり、日本酒が6種類、焼酎が4種類です。私は、福岡のそば焼酎、玄庵(玄海ではない)を水割りで2杯、蕎麦湯割りで2杯いただきました。
そして、いよいよ、メインイベントの締めの蕎麦を注文しました。ところが、あれあれ、お昼とちょっと様子が変ですよ。麺が昼より細くて(1.5mm前後、江戸蕎麦程度)、茹でもそれほど固くない。お昼食べたお蕎麦とは全く違うものが同じ笊にのっているのです。そこで、女中さんに聞きました。「お昼と同じ蕎麦?」、すると「はい!お昼も夜も同じお粉で二八です。」嘘~!私、酔っぱらったのですか?
でも、すぐに店主の心遣いが理解できました。お昼は、お腹の空いたサラリーマンにガッツリ系の蕎麦を食べさせて、夜は、お酒の後ですから、消化の良い優しい蕎麦にしているのだと・・・。もし、本当なら脱帽です。
新しいお店だけど、色々な発見ができるし、楽しくて、美味しいお店でした。
店名 | そば 長谷川 |
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電話番号 | 03-3508-8585 |
住所 | 〒105-0003 東京都港区新橋 1-22-3 小林ビル1F |
アクセス | 地下鉄銀座線 虎ノ門駅 1出口より徒歩5分 地下鉄都営三田線 内幸町駅 A3出口より徒歩6分 |
営業時間 | 昼 11:30~14:00 夜 17:30~22:00(LO 21:30) |
定休日 | 土曜・日曜・祭日 |
平均的な予算(昼) | 800円 |
平均的な予算(夜) | 3500円 |
予約 | 可 |
クレジットカード | 可 |
個室 | 有 |
席数 | 22 |
駐車場 | 無 |
禁煙 | 時間帯禁煙 |
アルコール | 有 |
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