美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

平成２５年５月１８日、天気の良い土曜日の午後１時２０分頃に入店。ＪＲ新宿駅東口の駅前のビル２階に店はある。日本有数の繁華街であるため看板なども多く、蕎麦屋と分からずに通り過ぎてしまいそうである。階段で２階に上がると、木をふんだんに使った和の趣のある店に至る。

　ダイニングバースタイルの店内はかなり広く、昼時とあって賑わっていたが、木が多く使用されていることから店全体は落ち着いた感じがした。ビジネスやデートにも使える大人の空間である。

　ランチ限定で蕎麦を注文した客には、２００円のプラスで『おかわり』や『大盛り』、『蕎麦で作ったお稲荷さん１個』などを選択することができるとのこと。『田舎せいろの大盛り』（１，０５０円）を注文。７分程で運ばれてくる。蕎麦は田舎蕎麦特有の黒みがかった色をしており、麺は瑞々しく太かった。蕎麦の香りも感じられ、しっかりとした歯応え、噛みごたえもあった。口の中で蕎麦粉の存在を感じることができるが、悪い粉っぽさはなく、喉越しはとても良い。美味い田舎蕎麦であり、幸せな気持ちにさせてくれる。蕎麦の量も適量である。薬味はネギとわさび。わさびは自分でおろす。満足度はさらに高まる。

一方、蕎麦汁は甘め。鰹の香りがしっかりと感じられる。蕎麦湯は白濁しているものの薄めであり、あっさりとした感じ。蕎麦汁の量も十分あり、蕎麦湯でいろいろな濃さを試してみることが可能だった。

　小鉢が付いており、ひじきの煮物であった。味付けもしっかりしており、美味しかった。

この店では、北海道多度志産の厳選した玄蕎麦を石臼で粗挽き自家製粉し、蕎麦の持つ本来の風味を大切にしているとのこと。つなぎは二割程度と最少にとどめ、すべて手こね、手打ちとし、『蕎麦の本当』を楽しんで欲しいとのこだわりである。

全体の印象としては良い評価である。その理由として、①高級感もあり、ビジネスでもプライベートでも、あらゆるシーンで使用できる店であること。②繁華街の一等地にありながら、手頃な値段で本格的な、しかも美味い蕎麦であること。③ランチ限定ではあるが、２００円の追加で蕎麦の増量などの楽しみが選択できること、が挙げられる。

新宿の街にラーメン店は数多くあるが、蕎麦屋は案外少ない。駅前で本格的な蕎麦を手頃な値段で味わうことができることは幸せである。知っていて損はない店である