美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

　平成２４年９月３０日、日曜日の午後２時少し前に店に行く。店は目黒通りから約２００メートル入った、スーパーダイエーと目黒星美学園小学校を結ぶ通り沿いにあり、日曜日の昼過ぎのため買い物客など人の往来もある。店の周囲は、道を一本入ると閑静な高級住宅街が広がっている。

自宅兼店舗の１階に店はある。家族で経営していると思われ、家庭的な雰囲気が店内ににじみ出ている。店の規模としては小さく、入口に入店待ち用の椅子が用意されている。現代的な和風の店内は１０畳程であり、落ち着いた内装で清潔感がある。６人席×１、４人席×２、２人席×２のテーブル席のみであり、カウンター席や個室は無い。妻と二人で着席した直後、満席となり、入店待ち状態が発生していた。

　『せいろそば』６５０円と『栗ご飯(大)』５７０円を注文。蕎麦粉は北海道江丹別産と長野県信州平産を混ぜて使用、栗ご飯は利尻昆布で炊き上げているとのこと。

　他の客もいたため注文した品が出るまでに１０分以上かかっている。その間、冷たい蕎麦茶で喉を潤す。他の客は、孫を含めた家族連れ、買い物帰りの小学生の娘と母、３０代男性一人などで客層は幅広かった。

　『せいろそば』の蕎麦は細めで、口にした時は『少し硬いかな』と思ったが、口の中でほどよく切れるため、コシとは少し違うこの硬さはそれほど気にならなかった。口の中で段々と蕎麦の甘味が広がり、うっすら香りも感じられた。蕎麦が喉を通過する際、蕎麦粉の心地よい『触感』があり、『蕎麦を食ってるんだなあ～』と感じた。喉越しは良いと思う。

蕎麦の盛りは他店に比べると少し多いような感じもした。値段だけ高くて、ほんの少ししか蒸籠に盛られていない有名店や高級店もあるが、そのようなことがなく、女性や高齢者であればちょうど良いくらいの量ではないか。

　蕎麦つゆはやや辛口であったが、かつお出汁？が良くきいており、蕎麦をつけると嫌味の無いちょうど良い味となっていた。

　薬味はネギ、大根おろし、わさびが小皿で出され、その他、揚げ玉もテーブルに用意されていた。蕎麦はせいろから数回に分けて食べたが、蕎麦の上に載せるわさびの量がもう少し多く欲しかった。

　『栗ご飯(大)』を二人で分けて食べたが、量は結構あった。味はまあまあの感じであり、５７０円の値段はもう少し安くても良いかな･･･と思う。

　蕎麦湯は『お代わりもどうぞ！』と言って出された。入れ物は洒落ている。思わず『甘酒か！？』と感じさせるほどの濃厚な白色であり、しっかりとした濃い蕎麦の味でそのまま飲んでも美味しかった。蕎麦つゆを割っても味にクセは無かった。薄くてサラッとした蕎麦湯を出す店もあり、好みは人それぞれであろうが、程良く粘度があり、くどくない濃い味は美味しかったので、お約束通りにお代わりし飲み干した。隣の席のお孫さんはデザートに、おばあちゃんと一緒に『黒みつそばだんご』(３６０円)、『だったんそばアイスクリーム』(３６０円)を美味しそうに食べていた。

　全般的な印象としては、会社の昼休みに作業着のまま入る大衆店の蕎麦屋とは違う、散歩やスーパーの買い物帰りにちょっと立ち寄る、安心して入れる小綺麗な店という感じ。碑文谷という高級住宅街にあるため『値段が高いのでは？』と思ってしまうが、そこそこの値段であり、家庭的で『また来よう』と思う味と雰囲気があった。ただ、美味しかったが、『隠れた名店』や『絶品の味』というまでには至らず、全体としての評価は『中の上』といったところ。

【写真の説明】

１　店の外観
２　料理のメニュー
３　せいろそば
４　季節の料理：栗ご飯(大)
５　濃厚な蕎麦湯

せいろ蕎麦・うどん、かけ蕎麦・うどん：６５０円
合い盛り(せいろの蕎麦とうどんの両方を食べられる)：８６０円
秋野菜の天せいろ：１，３００円
秋野菜の天ぷら(単品)：７５０円
蕎麦屋の出汁巻き玉子：７３０円
焼酎　蕎麦：宮崎　十割(とわり)　グラス４７０円　ボトル３，０００円
芋：宮崎　黒霧島　グラス４５０円　ボトル２，６００円
麦：大分　吉四六(きっちょうむ)　
グラス６３０円　ボトル４，０００円
土産用生蕎麦(２～３人前)：１，５００円