真夏の2012年の第1号店となったのは、大塚・三業通りの小倉庵。せいろと田舎蕎麦をいただく。せいろの二・八麺は細く色はベイジュ系で黒っぽい斑点がところどころに見え隠れする。歯ごたえはしっかりしていて゛蕎麦だ゛と口の中が喜ぶ感触。蕎麦だけでも十分にいただけるが汁をつけるとさらに食が進む。田舎蕎麦の十割はせいろの太さの3倍はありうれしくなる。まさに食べる蕎麦であった。色も茶褐色系で硬さもしっかり自己を主張していた。どちらも群馬・赤城深山産と北海道の南富良野産の夏そばブレンドであるという。不思議とブレンドはよくミックスしていて相乗効果があり一段と味が濃く深くなるような気がして私の好み。二・八は小麦のつなぎが入る分やさしい食感となる。十割はその太さからも荒々しさをふつつとさせるが長さもしっかりありうれしくなる。汁は、本鰹節の「蒸し」から店で手がけ、荒削りした後出汁を作っているといる(実演をみせていただく)。まろやかさと芳香を濃く感じる。
丸抜きで宮本製粉から蕎麦粉購入し石臼で自家製粉し、「練り、延ばし、切り」を毎朝一人で店の隣の工房で行い、内容吟味し研究を重ねているという。20平米くらいあり時には蕎麦打ち教室を開催している。小倉庵の店主のポリシーは「日々進化」といっている。メニューを見ても創意工夫が感じられる。例えば「雪化粧」辛み大根ののったせいろ、4「よいしょそば」大根おろしと揚げ餅が入っている、「八方美人」8種のトッピングのあるせいろなど。食べてみたいと思わせ客がにこにこするのが目に浮かぶ。夏には江戸野菜を取り入れた「甘茄子のなる頃」という冷やし蕎麦がおいしい。薄味の蕎麦汁の中にやや硬めの二・八そばの上に焼きナス1本豪快にみょうがとともに乗っている一品。裏メニューで現在研究中の「寒ざらし発芽そば」の゛一口スプーン゛と゛和風リゾット゛を提供していただいた。まだ開発中とのことで詳細は聞けなかったが、大変珍しく蕎麦掻きよりも原点に近い味を賞味でき感激のひと時であった。
さて、何故「食味体験」第一号店にしたかという理由は、群馬赤城深山産の蕎麦粉を使っていると事を知り是非食したいと思った事が一つであり、もう一つの理由は、その赤城深山産の蕎麦粉は、「渋川市赤城町長井の農業高井真佐実さん(61)が「2011年度全国そば優良生産表彰事業」で、最高賞の農林水産大臣賞に輝いている。貴重な「夏ソバ」の栽培技法を確立した点が認められた。ソバ粉は東京都内の有名店に高値で取引されるなど評価も高い」と言う事をメディア新聞で読み東京の宮本製粉会社が取り扱っているという情報からであった。
片山虎之助著「蕎麦屋の常識・非常識」の冒頭にあった蕎麦屋の玄関を入り中に進み、さらに奥へどんどん進むと・・・そば畑という経緯がある。
私はその蕎麦のルーツをたどり始めたと思っている。
【写真の説明】
店名 | 手打ち蕎麦 小倉庵 |
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電話番号 | 03-3941-8230 |
住所 | 東京都豊島区南大塚 1-42-8 |
アクセス | JR大塚駅南口から三業通りへ5分 |
営業時間 | 昼 11時30分~ 夜 20時30分まで |
定休日 | 日曜日のみ |
平均的な予算(昼) | 800円~1000円前後 |
平均的な予算(夜) | 1000円~1500円前後 |
予約 | 可 |
クレジットカード | 不可 |
個室 | なし |
席数 | 28席 |
駐車場 | 有 |
禁煙 | 喫煙可 |
アルコール | 有 日本酒 焼酎多数 神楽の舞あり |
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