そば会席 立会川 吉田家 (東京都

夏蕎麦の極意
レポート提出者:沙羅さん

 品川区では、昔から老舗の蕎麦屋(創業安政三年―156年目)で名が通っている。店は江戸時代から鮫洲・立会吉田屋.jpg川(現在地)にあり、坂本竜馬も立会川にあった土佐藩下屋敷守備の任務に就いていたので、もしかすると吉田家の蕎麦を食していたのではないかと・・・夢を持って通っていた。

 江戸時代の品川宿東海道は海に面し魚貝/海苔も豊富なところであり吉田家さんも江戸城に献納していたので、今も残る名店へとつながっているようだ。

 さて、現代の「吉田家」は落ち着いた木の香る風情の建物である。店内も明るい。個室のある店奥には池もあり木立の中でゆっくり出来る様になっている。宮本製粉が信頼して取引をしているという店であり、手打ち蕎麦である。早速に生産者、群馬赤城産夏蕎麦高井真佐実さんの蕎麦をいただく。冷やしおかそば湯の小鉢とともに.jpgめを注文する。冷たいおかめ蕎麦への期待感があった。涼しげな器の中には、さやえんどう・かいわれ・かまぼこ・ちくわ・揚げ玉・椎茸煮・卵焼き・大根おろしなどが上にのっているが、そこは蕎麦を先にいただく。茶系の細く長い蕎麦が箸に上がってくる。黒い★点が若干見える。まず腰があり゛うーん・・何か違う・・゛そうだ!深い蕎麦の味がある。1本づつの蕎麦の味、夏蕎麦のこの時期にこの味わいは・・・不思議である。汁の中の蕎麦だったのに好みの硬さでありよく味わいながら口の奥へ・・・。汁ともよくからみ一段と旨味に変化を与えている。味わいを深めるためにマイナスイオン照射しているという蕎麦粉100%の手打ちである。

 「20世紀初頭に、ノーベル賞物理学者のレナード博士が、水滴を金属板に当てて分裂させると、水滴が帯電し、そ冷やしおかめ.jpgれと同時にイオンが発生することを発見した水滴の表面には負(-)の、内側には正(+)の電気を帯び、より激しくぶつかり合うときは、表面が飛び散るので、微細な水粒に負(-)の電子が付き、多量のマイナスイオンとなることを明らかにした。これが博士の名を取ってレナード効果と言われるもので、「ファインの滝F-1」はこの原理を再現し、水を利用して、自然がつくるのと同じ、安全できれいな空気を室内に満たしている。細かく砕いた水しぶきによるものがもっとも有効とされている」(http://www.wood.co.jp/kinokokoro/no20/mizukara.htm)こうして室温・湿度が保たれているのかもしれないがさらに詳しく今後確認していきたいと思う。

店主と夏蕎麦の原点・生産者さんの蕎麦の話をすると自信をもって高井さんを紹介して下さった。店の入り口近くの掲示.jpg

群馬赤城夏蕎麦生産の高井真佐実さん(62歳)は、2011年度全国そば優良生産表彰で農林大臣賞を受賞されている。

9月5日に仲間5人と高井さんを訪問することが出来た。

丁度秋蕎麦の播種の最終日頃でまだ忙しい時期に快く受けて頂いた。最初に育成の全体像の話を聞きついで畑を車で案内していただき説明を受け、最後にまとめ質疑応答という時間であった。

渋川市赤城町深山で10アール当たり110キロの夏蕎麦収穫である。常陸とキタワセ種。赤城山の裾野と利根川の河岸段丘で標高差200~700m・平均気温9.8℃・降水量(6月から9月)1236mm・榛名山の噴火軽石の為水はけはよい・黒化率50%~70%・水分15.5%。

高井さんはさらに「自然を大事にして余計な事はしない。しかし、妥協せず必要な手間暇はかけないと蕎麦の持つ特性を引き出せない。疑問を持つことは大切、到達点はなかなか見えない。常に変化するので探していくことが重要で手が抜けない。蕎麦は実った時から劣化が始まる、戦いが始まる。色、香り、味は生産者、製粉会社と店との技の連携で成り立つ」と話す姿は忘れられない。

これで生産者の蕎麦畑から製粉会社へ、そして蕎麦店へと蕎麦が歩む一つの道を確認できたことはこの上ない私の喜びでもある。

ことの始まりは大塚の「小倉庵」の店主が「群馬赤城深山の夏蕎麦が手に入ったんです」とうれしそうに言うではないか。

蕎麦屋の店主がそんなにうれしいのは何か面白そうと思ったのが始まりで、いろいろなつながりが出来てきた。

今回のつながりの中で一つのkeywordは「保存方法」を挙げることが出来ると思う。蕎麦粉の冷蔵保存の重要性を改めて今後課題としていきたい。

そして、全体の1割も理解していないかもしれない、又、この機会からさらに奥が深くなり見えない部分も沢山出てきている。こだわりを持ち一つ一つ明らかにしていく気持ちを大事にしたい。

片山氏の「蕎麦屋の常識・非常識」、テキストスにおいても書かれている蕎麦の不安定さの内容は、産地・生産者・地質・地形・気候・播種・肥料・収穫・乾燥・保管・保存期間・製粉などであるが、これらを今後も追及して行きたい。

 今回は、深山の夏蕎麦にこだわっているが、比較のために他の蕎麦店も8.9月に訪問している。荻窪の「本村庵」・戸越銀座の「正乃家」・登呂の「大村庵」・鳴子「虎ら屋」「小花」・御徒町「誠月」・八潮「元気食堂」・駒込「小松庵」(福井産蕎麦粉)・大森「ひらそば」(安曇野産蕎麦粉)・浜松町「大門 更科そば」などであった。レポートするまで至らなかったが蕎麦鑑定士のテキストにあるような食味不安定な内容が多々あり、こちらも今後検討を加えていきたいと思っている。以上

 

店名そば会席 立会川 吉田家 
電話番号03-3763-5903
住所東京都品川区東大井2-15-13
アクセス京急本線立会川駅徒歩5分
営業時間昼 11:00~15:00 夜 17:00~21:00 平日以外は11:00~21:00
定休日火曜日 祭日は営業
平均的な予算(昼)1000~2000円
平均的な予算(夜)3000~4000円
予約
クレジットカード
個室
席数90席 1階テーブル 1階座敷 2階座敷 離れ座敷
駐車場
禁煙分煙
アルコール有 八海山 他  そば焼酎 いも焼酎 他
ホームページhttp://www.geocities.jp/yoshidaya44/
35.600133,139.74089149999998

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