美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

住宅街にひっそりとたたずむ風情、蕎麦屋然としていないのがこのお店の一番の特徴。のぼりや看板などなければごく普通の一軒家に見える。

しかし、そのどこにでもありそうな住宅用玄関ドアを押し開け足を一歩店に踏み入れるとそこは異空間。隅々まで気配りの利いた店内。テーブルには小さな花々があしらわれ窓から差し込む穏やかな光にほっとする。ゆとりのあるテーブル席、座るとまるで自分の家に帰ってきたような安心感。

このお店には二度目である。
以前訪れた際に頂いた十割蕎麦がおいしくまた食べたいと訪れた。しかし残念ながら十割蕎麦は予約のみとなったとのこと、二八の盛りそばを注文。

少し話しをしただけでご亭主は私が蕎麦好きであると分かったようで「来週なら新蕎麦を食べて頂けるのにね」と残念そう。飾らない気さくな方だ。料理を待つ間メニューなど見ているとなにやら二階が賑やか、大勢の話し声がする。

案内によると二階を多目的ホールとして開放しているとのこと。お店オリジナルの料理コースはもちろん持ち込みも可。

この地域に根ざした姿勢がこのお店の愛されている理由だろう。ほどなく運ばれた盛りそば、テーブルに置かれた瞬間、蕎麦が香り立つ。

新蕎麦でなくてもこの香り。そして私はその裁ちの美しさに見とれてしまった。迷いなくきりっと角が立っている。

まず何もつけずに蕎麦だけを頂く。のど越しなめらかな上にざわつきもあり歯ぬかりなし。二八の特長を最大限に引き出している。

蕎麦粉は信州八ヶ岳山麓のものだそうで、信州生まれの私としては嬉しい限り。次にそばつゆをつけて頂く。この蕎麦つゆ、このお店の店構えのように控えめである。変に主張していない。

鰹の味か、昆布の味か、何か分からないがとにかくおいしく、しかし蕎麦より前に出てこないのが良い。

メニューによるとお酒の種類が豊富である。オリジナルコースも気にかかる。何より十割蕎麦、それも新蕎麦で頂きたいものだ。次回は予約した上で夜また来ようと決め店を後にした。

【写真の説明】

① 住宅街に佇む店構え

② 落ち着いた雰囲気の店内

③ ～⑧一品料理、コース料理、お酒も豊富

⑨盛りそば

⑩盛りそばアップ