蕎麦萬両 (町田市)(東京都

蕎麦萬両
レポート提出者:ライシーンさん

manryo3.jpg 蕎麦鑑定士の受講生となって以来、メディアに取り上げられている全国的な有名店よりも、美味しいお蕎麦にこだわりのあるお店を探していたところ、町田で発見。

 お店の玄関先に「石臼手碾きそば」との張り紙。お店は全席15席のこぢんまりとした店内で、厨房に向かい合わせになったカウンター席と、2人と4人のテーブル席があります。店内はきちんと整理整頓され、清潔感が漂うだけではなく、厨房の中には美味しそうなお酒の瓶が並んでいて、夜はカウンターに座り、肴で一杯やりながら締めに手碾きそばという、酒飲みにはたまらないコースを連想させます。

さてさて、まだお昼。テーブルに座り、メニューを覗くと「蕎麦の実を石臼で粗く手碾きし、そして手打ちにてご提供」との解説が書いてあります。お店の雰囲気とメニューだけでもお客に対しお蕎麦への期待感を自然と高めてくれます。

 そば茶を頂きながら、蕎麦鑑定士の鑑定基準として、まずは「手碾きそば」(945)をオーダー。これだけではお腹がすくので、さらに「鴨ローストのつけそば」(1,380円)もオーダー。「鴨ローストのつけそば」のつけ汁は温かいのと冷たいのとがあるので迷っていると、お店の方が「冷たい方が鴨の味がよく出ています」とのこと。他にも、お薦めに従って、「きのこと鶏つくねのつけそば」(1,380)、季節限定で「牡蠣のうま煮そば」(1.470円)をオーダー。酒肴には「豆腐の味噌漬け」(380)がお薦めとのことで、なんでも木綿豆腐を半年間も味噌に付け込んだ珍味で、まるでチーズのような食感とか。

manryo2.jpg 待つこと15分。お蕎麦が運ばれてきました。お蕎麦は、麺の角がピシッと立ち、盛られたお皿から香りが立っています。色は玄蕎麦らしく、星がきれいに入っています。しかし、このお蕎麦のすごさは色でも形でもありません。テーブルに運ばれてきたときに、誰でも気づきます。そう、周りに立ち込める蕎麦の香りです!

鼻を蕎麦に近づけないと香りが分からないという先入観を見事に打ち破ってくれるではないか! まずは、麺を何もつけずにそのまま口に運ぶと、蕎麦の香りが口に入る直前に鼻腔をくすぐり、口に含めば鼻に抜け、冷たい食感と程よい固さが得も言われぬ快感に。「美味い!」の一言が思わず口走ります。

辛汁は濃い目で、昆布だしの旨みが効いています。お蕎麦屋さんめぐりをしていたら鰹だしの強い辛汁に巡り会うことが多かったため、久々に昆布だしの旨さにホッとします。

manryo1.jpg 「鴨ローストのつけそば」の鴨汁は鴨のだしがちょうどよく出ていて、これまた美味。「きのこと鶏つくねのつけそば」はきのこの味が絶妙なハーモニーを出していて、これも美味。

 お店の方に玄蕎麦の産地をお尋ねしたところ、「福井県の契約農家から大野在来を取り寄せ、常陸秋蕎麦とブレンドし、手碾きしています。一日に手碾きできる量が限られるので、一皿の盛り付け量はどうしても少なくなってしまう。たくさん召し上がりたい方には物足りないと思う」とのこと。私から「全部のお蕎麦を手碾きで提供しているというお店は滅多に耳にしたことがないなあ。大変でしょう?」と問いかけてみたら、店主自ら「朝夕、時間を見つけては手碾きしています。手碾きがこの店のこだわりです!」との返事。

蕎麦の会話をしていると、店内の壁にさりげなく掲げられた「一打一生」の額が目に。それは、野球の神様、川上哲治巨人軍監督の直筆の額。手碾きにこだわる店主の心意気が額の名言に通じるものを感じます。

店主の「こだわり」を知ると、お店で気がつかなかったことが見えてきました。お店の張り紙もメニューも「手挽き」ではなく「手碾き」と書いてあります。漢和辞典で調べると、石臼でひくのは「碾く」の字が古くからの意味との解説。「手碾き」への「こだわり」は漢字にも表れています。玄関を出るときには、蕎麦にそそぐ店主の熱い「こだわり」に思わず敬服しました。

店名蕎麦萬両 (町田市)
電話番号042-720-0147
住所東京都町田市原町田6-17-18-101
アクセス小田急・JR「町田駅」徒歩10分
営業時間(火~土)12:00-14:30、17:30-20:00 (日祝)17:00-19:30 売り切れ終了
定休日月曜 定休(祝日の場合翌日休。他臨時休業有り。)
平均的な予算(昼)1,500円~2,000円
平均的な予算(夜)3,000円~5,000円
予約
クレジットカード不可
個室
席数15席(カウンター7席、2人掛けテーブル2卓、4人掛けテーブル1卓)
駐車場
禁煙禁煙
アルコール
ホームページ
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