美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

　今回は、アンティークショップの多い町：西荻窪の駅前にある、常陸秋そばを石臼挽きした十割蕎麦が楽しめる店を紹介したい。
　平成２６年２月１７日、月曜日、１３時半頃入店。３日前に降った大雪があちこちに残り歩きにくい状況にもかかわらず、店内はほぼ満席状態。和を基調とした歴史を感じさせる店内には、大きな石臼が中央に鎮座し、店主のこだわりが感じ取れる。モダンな絵も飾られており、非常に落ち着いた空間となっている。若者カップルや家族連れ、高齢者と客の年齢層は様々だが、いずれも常連もしくは評判を聞きつけて遠くから来た客のようであり、蕎麦が運ばれてくるのを待ち遠しそうにしている。

　『箱盛そば』（９４０円：白目の標準的なそば）にするか、『甘皮そば』（９９０円：黒目の甘皮多めの太そば）にするか迷ったが、店のお薦めである『箱盛そば』の大盛り（４００円増）をお願いした。普通盛りが１５０グラムのところ、大盛りは２００グラムとなるそうだ。

　麺はやや細め。少し緑がかった灰色。香りはわずかに感じる程度だが、口にすると蕎麦の甘味を十分堪能できる。水切りは良い。程良いコシがあり、歯ぬかりはなく、喉越しも良い。蕎麦粉の粉っぽさは感じられない。大盛りにしたため、食べごたえは適量。薬味は、わさび、ねぎ、優しい辛さの辛味大根。

つゆは辛口で、雑味のない透明感と奥行き・深みのある味わい。すっきりとした鰹の香りが美味。蕎麦湯は白濁し濃厚だが、くどくない。蕎麦の甘い良い香りがする。

　常陸秋蕎麦を茨城県の契約農家から直接買い付けし、石臼挽きで自家製粉し、水を加えただけの十割蕎麦を提供する店主のこだわり。こだわりがあるだけの美味い蕎麦である。全体のバランスが整った良好な蕎麦と感じた。
　リピーターも多く客足が絶えないことも頷ける。高級住宅地を周囲に持つ西荻窪の地ではやむを得ないのであろうが、正直なところ、値段は高い。しかし、味は確かである。値段は高いが、レベルも高い。そんな良質な蕎麦屋さんの美味しい蕎麦を是非一度楽しんで欲しい。