このお店は地下鉄駅のそばにあり近くに市内有数のイベント会場もあって、以前は時々立ち寄る機会がありました。蕎麦のおいしいお店という漠然とした印象は残っていましたがさて何がという点は曖昧で、今回久しぶりに再訪しました。
まず玄関回りですが、店の名前をイメージさせるような竹でできたこじんまりとした塀に囲い込まれていて、粋(いき)を感じさせます。中へ入るとすぐ左側に6人掛けくらいの明るい小部屋があり、その奥のさほど広くない空間に大小のテーブル席6組が整然と配置されていますが、年配の物静かな客が多いこともあってお店の空気に静謐感が漂い、ある種の気持ちよさを感じます。
この日は二八のせいろそば(630円・お替り450円)とトマトの旨さが十二分に味わえるというお店お薦めのトマト冷しかけそば(1100円)を注文しました。
まずせいろですが、かなり細打ちで、最初のひとすくいをそのまま噛みしめてみましたが、この時期、香りは幽かでしたが濃厚な味わいがありのど越しだけで頂くのはもったいない気がして、その後も主に噛みしめて味わいました。
辛汁は、甘からず辛からず、醤油とみりんとだし汁がバランスよく調和し、いちばん私好みの味でした。そば湯も濃いとろりとしたものがたっぷりと出てきて、おいしい辛汁で十二分に味わえました。
次に、トマト冷しかけそばですが、底の浅い大きめの丼にしつらえられた冷し蕎麦の上に、そばつゆで煮含めた大ぶりのトマトを四つ切りにしたものをどんと盛り、中央にたっぷりの刻んだミョウガ、全体に太白のおぼろこんぶと刻んだ大葉を散らした形で出てきました。横には山椒を漬けたオイルが入った洒落た小瓶が添えられています。
まずトマトの塊を一口でほおばると、ぐにゃりと柔かく崩れ、あふれだした煮汁と酸味のあるトマトの味わいが溶け合って、大変おいしかったです。次に冷やしそばと併せて食べましたが、マッチングという点では私には普通の味わいで感動までには至りませんでした。あいにく私の余り好まないミョウガの風味が強かったせいかもしれません。山椒オイルもすこしかけて試しましたがそれぞれの好みによると思いました。
余談ですが、私は家で時々辛汁に細かく刻んだトマトとフルーティなオリーブオイルをいれてそばを食べますが、コンビネーションが良く気に入っています。まだお店ではそのようなものに出会ったことがありませんがこれも有りだなあと思っています。
さてこのお店は、蕎麦のメニューは基本的なものを揃えたうえで(なお鴨せいろ〈1650円〉は仏・シャラン産鴨を使用)、季節によってトマトや土佐のぶしゅかん(柑橘)、鱧・キス・カサゴ・ほうぼうなどの天ぷらをつかったものを出し、蕎麦前も銘酒を厳選して数を絞り、一品料理も品数はそれほど多くはありませんが、玉子焼(650円)をそばつゆに浸して供したり、自家製紀州南高梅、豆腐の味噌漬けなどが並ぶなど、店主のこだわりを感じます。そしてお値段が内容の割には庶民的なことも見逃せません。
また、店のサービスで感心したのは、店の女性の応対がスピーディーなことに加え料理の出てくる時間が昼時にもかかわらず私に限らず大変早かったことで、お店が小さめということもあるでしょうが、お店の心構えもあると思いました。
この日は平日でしたが帰る時には3つほどのグループが空席待ちでした。
PS. 日をおかず、再訪する機会があり、その際は天せいろ(1480円)と玉子焼(小350円)を注文しましたが、特に、小ぶりの海老やイカ、いろいろな野菜の天ぷらの盛り合わせがどれをとっても、薄い衣でさくっと実に軽く揚げてあり滅多にないおいしさでした。
店名 | 蕎麦 つづら(名古屋市) |
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電話番号 | 052-735-7755 |
住所 | 愛知県名古屋市千種区千種通7-21-2 |
アクセス | 地下鉄桜通線「吹上駅」下車、地上に出てすぐ |
営業時間 | 11:30~14:30 17:30~20:00 蕎麦が無くなり次第閉店 |
定休日 | 火曜日(月曜日の夜の部は休み) |
平均的な予算(昼) | 1000~2000円 |
平均的な予算(夜) | 2000~4000円 |
予約 | 不可 |
クレジットカード | 不可 |
個室 | 無 |
席数 | 26席 |
駐車場 | 4台(店の北側) |
禁煙 | 禁煙 |
アルコール | 有り |
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